JUJU、ジャズへの愛に満ちたプレミアムライブ 久保田利伸も登場した一夜をレポート

JUJU、久保田利伸も登場したライブ

 きらめくクリスマスのイルミネーションが街に点り始めた12月3日、豊かなジャズの歴史をその名に刻む丸の内のライブレストラン、COTTON CLUBで行われたスペシャルなワンナイトショウ。JUJUにとって3作目となるジャズアルバム『DELICIOUS~JUJU's JAZZ 3rd Dish~』のリリースを記念するプレミアムライブは、素晴らしい音楽とお酒と食事と共に、大人のムードを楽しむ贅沢な時間になった。本稿では、あっと驚くサプライズも飛び出した、午後9時開演の2ndステージの模様をレポートする。

 最近は東京国際フォーラム、武道館といった大きな会場でJUJUを見てきた目からすると、夢かと思うばかりにステージが近い。オープニング曲「New York New York」を歌うJUJUは自然体そのもので、バンドのグルーヴに合わせてテンポを自在に変えながら伸びやかな歌声を響かせる。「My Favorite Things」では静かなピアノのイントロから徐々にテンポを上げ、間奏の見事なソプラノサックスのソロに至ると自然に拍手が湧き上がった。バックを固めるのは坂田学(Dr)、大島俊一(Key/Sax/Flute)、SOKUSAI(Ba)、石成正人(Gt)、森大輔(Pf)の5人。ポップスのコンサートとは一味違う、どこを切ってもジャズライブらしい自由でスポンテニアスなムードがとても新鮮だ。

「お酒が飲める場所で歌う、これが理想だといつも思います。スペシャルな夜にしたいので、最後までご協力お願いします」

 私にとってジャズは小さい頃からの憧れの音楽。そう言いながらジャズとの出会い、そして『DELICIOUS』シリーズについて語り、1、2枚目はストレートアップなスタンダードに特化したが、3枚目はコンテンポラリーなポップスも取り入れてより幅広いものになったと話すJUJU。ジャズはジャンルというよりはスタイル、アティテュードだというJUJUの思考が、今回の『DELICIOUS~JUJU's JAZZ 3rd Dish~』にはより強く出ているというわけだ。

 そして、今回の裏テーマは“ニューヨーク”。夢を叶える街・ニューヨークへと向かった若き日の思い、挫折と希望、恋する心など、実体験に基づくストーリーが選曲と曲順に表れている。それも『DELICIOUS~JUJU's JAZZ 3rd Dish~』の大きな魅力になっているが、そちらは音源で確認してもらうことにしてライブに戻ろう。恋する女性のワクワク感を“あたしを月まで連れて行って、そして星たちと戯れさせて(対訳:JUJU)”と歌う「Fly me to the Moon」、悲しみに打ちひしがれた人を“心が痛む時も 笑顔でいれば…”と優しく励ます「Smile」の2曲は、ボサノバ風アレンジでしっとりと。そしてジャズを知らない人でもきっと口ずさめる名曲「What A Wonderful World」は壮大に美しく。丁寧にメロディを紡ぐピアニストをギタリストが笑顔で見つめ、それをJUJUがほほ笑みながら見守る。メンバー間の確かな信頼とリスペクトが音楽を輝かせている。

「アルバムにはデュエット曲があります。お呼びします、ミスター・トシノブ・クボタ!」

 ここでまさかのビッグサプライズ、久保田利伸の登場にフロアは大騒ぎだ。JUJUは久保田を「兄さん」と呼んで慕う旧知の仲で、ステージに上がるやいなや思い出話に花が咲く。2003年のニューヨーク大停電に偶然居合わせたエピソードは面白かったが、それはまた別の機会にするとして、2人が選んだのはニューヨークを舞台にした“LEGAL ALIEN=合法的なよそ者”の物語、スティングの「Englishman In New York」。指先にまでファンクの匂いの染みついた久保田のパフォーマンスは、クールなジャズアレンジに熱い躍動感をもたらし、それに応えてJUJUのボーカルもヒートアップ。1曲ではもったいないと、さらに久保田のオリジナル曲「Indigo Waltz」を、おまけに「LA・LA・LA LOVE SONG」の一節も歌うなど、夢のデュエットと呼ぶにふさわしい素晴らしいパフォーマンスをたっぷりと見せてくれた。

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