『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/ スター誕生』の意外な共通点とレディー・ガガの歌唱力

レディー・ガガがクイーンから受けた影響とは

 伝説のロックバンド、クイーンのボーカリストの生き様を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットを続けている。公開5週目週末も前週対比102%を記録。累計動員320万人を突破、累計興行収入約44億円を達成した。さらにゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)の作品賞、主演男優賞にノミネートされるなど、音楽映画の新たな名作として認知されつつある。映画『ボヘミアン・ラプソディ』の魅力の中心はやはり、クイーンが遺した素晴らしい楽曲の数々だ。ハードロック、オペラ、ディスコなどを融合させ、独創的としか言いようがない音楽世界を作り上げたクイーン、そして、それまでの常識を覆すビジュアル、衣装、ステージングを取り入れ、希代のパフォーマーとなったフレディ・マーキュリー。その軌跡をリアルに追体験できる本作は、クイーンの新たなファンを掘り起こすことにもつながっている。

『アリー/ スター誕生 サウンドトラック』

 映画『ボヘミアン・ラプソディ』と並び、2018年を代表する音楽映画として注目されているのが、レディー・ガガ主演の『アリー/ スター誕生』だ。ブラッドリー・クーパー(『アメリカン・スナイパー』)が監督・主演をつとめた本作は、歌手を夢見ながら、自分に自信がなく諦めかけているアリー(レディー・ガガ)と有名ミュージシャンであるジャクソン(ブラッドリー・クーパー)の物語。全世界興行収入が400億円を超える驚異的ヒットを記録し、ゴールデン・グローブ賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、そして、メイン楽曲「シャロウ〜『アリー/ スター誕生』愛のうた」が主題歌賞にノミネートされるなど、大きな注目を集めている。日本でも12月21日から公開されるが、大ヒットは間違いない。

 クイーンの代表曲「Radio Ga Ga」がアーティスト名の由来であることに象徴されるように、レディー・ガガは以前から、クイーンに多大な影響を受けたことを公言していた。セクシャリティを超越するような革新的なファッション性、既存のショービズのフォーマットに収まらないステージ、ジャンルの壁を打ち破る音楽性などが、その一例。そして何より、すべてのタブーを打ち破り、新たなスター像を作り上げたことこそが、ガガとクイーン(フレディ・マーキュリー)の共通点だろう。また、当初は“奇抜なイロモノ”として見られながら、作品とライブを重ねるなかで、本物の価値を持ったアーティストとして認知されたプロセスも似ているかもしれない。いずれにしても、クイーンをテーマにした映画『ボヘミアン・ラプソディ』とガガの女優デビュー作『アリー/スター誕生』が同じ年にヒットしたことは、両者の運命的なつながりを感じざるを得ない。

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