米津玄師、DA PUMP、安室奈美恵、サザン、BTS……2018年を象徴するアーティストの作品

 米津玄師の「Lemon」、DA PUMPの「U.S.A.」など、2018年の音楽シーンを彩ったヒット作を改めて紹介。2018年ももうすぐ終わり。過去の音楽に対するリスペクトを現代的なポップミュージックへと昇華した名曲、名盤をじっくりと楽しんでほしい。

米津玄師『Lemon』(通常盤)

 ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の主題歌として書き下ろされた米津玄師の「Lemon」は、ダウンロード、動画再生数、SNSでの拡散、CDなど各メディアで高いセールスを記録、名実ともに2018年を代表するヒット曲となった。1980〜90年代のJ-POPに通じる哀愁を帯びたメロディ、現在進行形のR&B、エレクトロと同期したトラック、残された者の悲しみを描いたリリックがひとつになったこの曲は、米津の最大の特徴である“先鋭性と大衆性の共存”をさらに推し進め、幅広い世代のリスナーの支持を獲得。クリエイティビティの高さを改めて証明すると同時に、国民的なアーティストへの道を大きく切り開いた。星野源、あいみょんなどと並び、2019年も音楽シーンの中心になることはまちがいないだろう。

米津玄師 MV「Lemon」

DA PUMP『U.S.A.』(通常盤)

 MVのYouTube再生回数は驚異の1億3000万回オーバー(12月25日現在)。インパクトのあるサビの振り付け、“ダサかっこいい”衣装やビジュアルも話題を集めた「U.S.A.」は、DA PUMPの見事なカムバックへとつながった。1990年代のユーロビートを現代的なトラックにリアレンジしたこの曲は、荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」のリバイバルヒットに続き、“ちょっと懐かしい”“みんなで盛り上がりやすい”という現代のヒットの条件に合致していたと言えるだろう。もちろん、ISSAの圧倒的なボーカル力も「U.S.A.」の爆発的ヒットの要因。“上手い歌”“キレのいいダンス”など、わかりやすい肉体性をアピールすることも、楽曲を拡散させる重要な要素なのだと思う。

DA PUMP / U.S.A.

安室奈美恵『Finally』(通常盤)

 2018年9月16日をもってアーティスト活動を終了させた安室奈美恵。ベストアルバム『Finally』のリリースは2017年11月だが、“Finally”をタイトルに冠したラストツアー『namie amuro Final Tour 2018~Finally~』の開催とともにロングセールスを継続。オリコン年間ランキングでも首位を記録するなど、圧倒的なセールスパワーを見せつけた。ユーロビート系のダンスチューンでブレイクした彼女は、2000年代中盤あたりから自身のルーツであるR&Bに方向転換。さらにエレクトロ、EDMなどのトレンドを取り入れながら、常に進化を繰り返し、平成を代表するスターとして存在し続けた。歌とダンスの実力はもちろん、自分の美意識、スタイルを貫く姿勢も、彼女が強烈な支持を得てきた大きな理由。まさに不世出のエンターテイナーだった。

安室奈美恵 / 「Finally」Music Video (from AL「Finally」)

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