俊龍×hisakuniが語る、悠木碧と竹達彩奈だからこそ生まれるpetit miladyの縦横無尽な音楽性

俊龍×hisakuniが語る、プチミレ独自の音楽性

 それぞれが数々のアニメ作品に出演する人気声優であり、ソロアーティストとしても活動する悠木碧と竹達彩奈による音楽ユニット、petit milady。2018年に活動5周年を迎えた彼女たちが、通算5作目の最新アルバム『Howling!!』を完成させた。

 この作品では“バンド”をテーマに据え、様々な作家陣による最新曲の数々を、彼女たちのライブでバックバンドを務めるリアジュボーンの生演奏で収録。ギターサウンドを基調にしながらも、曲ごとにカラフルな要素が顔を出す、petit milady流ロックアルバムと言える作品になっている。

 リアルサウンドではpetit miladyの音楽的な魅力に迫るため、1曲目「Howling」の作詞作曲を担当した俊龍氏と、4曲目「A or A!? (feat. リアジュボーン)」の原曲のアレンジと、12曲目「360°星のオーケストラ (feat. リアジュボーン)」の原曲の作詞作曲を担当したhisakuni氏に、petit miladyの楽曲の制作過程や、シンガーとしての2人の魅力を聞いた。(杉山 仁)

「色んな挑戦を“可愛く”“面白く”呑み込んでいく」(hisakuni)

マグナ・イデア / fortuna [嵐城サツキ(CV.竹達彩奈)/漆原静乃(CV.悠木碧)/四門摩耶(CV.小倉唯)/百地春鹿(CV.内田真礼)]

――まずは、俊龍さんとhisakuniさんがpetit miladyのおふたりと関わるようになったきっかけを教えていただけますか?

俊龍:僕の場合は、竹達さんがメインヒロインのうちのひとり(住之江あこ)を演じられた『Kiss×sis』だったと思います。その作品のキャラソン(「夏の匂いがしていた」)を作らせていただいて。同時期にWebアニメ『ゆとりちゃん』で悠木さんが歌うキャラソン(「ゆとりのゆとり」)も担当させていただいて。悠木さんとは、直接会って作業することはなかったのですが。

――2010年頃、随分前のお話ですよね。竹達さんも悠木さんもまだまだ駆け出しと言える時期だったかもしれません。

俊龍:それからちょっと期間が空いて、今度は『聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>』(2015年)という作品でメインヒロイン4人が歌うエンディングテーマ(「マグナ・イデア」/fortuna [嵐城サツキ(CV.竹達彩奈)/漆原静乃(CV.悠木碧)/四門摩耶(CV.小倉唯)/百地春鹿(CV.内田真礼)] )の作曲を担当させていただいて、その中に悠木さんと竹達さんがいらっしゃって。その後、petit miladyの2ndアルバム『cheri*cheri? milady!!』の楽曲(「Rainbow Jump!!」)を担当させていただいた際に、「あのときの!」と言っていただいて、嬉しかったのを覚えています。

hisakuni:僕の場合はpetit miladyの3rdアルバム『CALENDAR GIRL』の収録曲「チョコレイト・ブギウギ」が最初でした。そのときに初めて会ったんですが、僕の場合はすでにおふたりとも人気声優になられていたので「あの悠木さんと竹達さんやん!」という感じで。実際に会ってみるとおふたりとも気さくに喋ってくださって、とても嬉しかったですね。覚えているんですけど、そのとき竹達さんが「ブギウギってなに?」ってすごく言っていたんですよ(笑)。

俊龍:〈ブギウギってなんなのさ〉(「チョコレイト・ブギウギ」の歌詞)ですね(笑)。

――おふたりは、petit miladyというグループにどんな魅力を感じていますか?

俊龍:とにかく、ファンのみなさんに“エンターテインメント”を提供してくれる方々ですよね。悠木さんと竹達さんはどちらも人気のある方々ですが、お高くとまっていなくて、むしろ「エンターテインメントのためなら何でもやっちゃうよ!」という雰囲気があって。

――遊び心を感じますよね。『Animelo Summer Live 2018 “OK!”』でも、petit miladyのステージでは某人気アニメ作品への驚きのオマージュで会場を盛り上げたり、おふたりともそれぞれソロとしてライブに出演/客演したりと大活躍でした。

俊龍:いい意味で手段を選ばない魅力がありますよね(笑)。

hisakuni:petit miladyに歌ってもらうと、それがたとえマイナーコードの曲でも、ポップな雰囲気になるように感じます。曲中のガヤもすごく面白いですよね(笑)。しかも、おふたりはそのガヤをほぼ一発で決めてしまうんです。あと、これは特に最近感じることなんですが、新しいことにもどんどん挑戦されていて。そのうえで、オーケストラコンサート(2018年10月の『petit milady オーケストラコンサート~Happy Halloween!観に来てくれたらイタズラするぞ~』)もそうですし、今回のロックアルバム『Howling!!』もそうですし、そんな挑戦を“可愛く”面白く”呑み込んでいて、本当にすごいですね。

俊龍「独特な悪ノリもプチミレの可愛さに繋がる」

petit milady - Howling (Music Video) (5thアルバム『Howling!!』リードトラック) #petitmilady

――petit miladyの“遊び心”という意味で、印象的だった曲やライブはありますか?

俊龍:僕だと、直近で担当させていただいた「Howling」のガヤは印象的でした。最初に曲のデモを送ったときは、「あざとすぎる」と言われてしまうかな、とも思ったんですが、「これで進めます」とOKをいただいて。

――中盤に出てくる、竹達さんが男性ファンに向けて、悠木さんが女性ファンに向けて披露する台詞パートですね。最初に聴かせていただいたとき、いい意味で笑ってしまいました。

俊龍:(笑)。今回はロックアルバムとはいえ、petit miladyが歌うからには、同時に可愛さやポップさも表現するであろうと思ったんです。そう予想したときに、今回アルバムを手にした方々が、最初にプッと笑ってしまうような、「やりやがったな!(笑)」と思っていただけるようなものでありつつ、「男女ともに騒ごうよ」という雰囲気を表現しようと思っていました。ファンの方からしても、スピード感があるので「ちくしょう、難しいぜ……。でも、やるか!!」と燃えていただけるかなと思ったんですよ(笑)。petit miladyのライブを実際に観させていただく中で、女の子のファンの方々も増えていると思ったので、それなら男女両方で楽しめるコール&レスポンスを用意しようと思ったんです。

hisakuni:ガヤのセリフ自体も、俊龍さんが用意されたんですか?

俊龍:はい、「キャー」や「フー!」も僕が考えました。竹達さんが先の収録で、ド直球で内角高めのボールを投げてくださっていたので、悠木さんのパートも「イケボで」と指定させていただいて(笑)。ちなみに、工藤さん(petit miladyファンにはお馴染みのZERO-Aプロデューサー)にも「キャー!」というガヤを入れていただいて。収録後、もう1回お願いします」と言われたので、やってみたら「イヤー!」に変わってました(笑)。「すごいスパイスが入ったぞ」という感じでしたね。

hisakuni:僕がレコーディングするときは、最初に竹達さんがレコーディングをして、そのあとに悠木さんがそこに声を重ねていくことが多いので、竹達さんが最初に楽曲に命を吹き込んでくれて、後日悠木さんがさらに曲の奥行きを与えてくれる感覚なんです。その場合、悠木さんはレコーディング前に竹達さんが収録した歌声を聴くんですが、そこで「ああ……。彩奈、愛おしいわぁ……」としみじみおっしゃっていて。

俊龍:お客さんになっちゃっていますね(笑)。

hisakuni:「らぶれたーふろむかぐや」(4thアルバム『petit miretta』収録)での竹達さんの「いぇいいぇい!」というガヤを聴いて、そう言っていました(笑)。あと、僕が編曲を担当した「A or A!?」は、Bメロですごく早口な部分がありますが、それを悠木さんと竹達さんが歌うと、活舌がはっきり聞こえたのも印象的でした。「流石がプロはちがうなぁ」と。

俊龍:ガヤで言うと、僕が担当した楽曲ではないですが、「スキ キライ キライ 大スキ♡」の「減らず口そんな口ありませ~ん」もすごく好きです。その独特な悪ノリも、おふたりの可愛さに繋がっていますよね。それをやっても、「またはしゃいでいるぜ」という雰囲気になると言いますか。

――ちょっと悪ノリするような感覚は、確かにpetit miladyの大きな魅力ですね。しかも、そういう魅力があるからこそ、切ないバラードの魅力も余計に増すような気がします。

俊龍:僕もそう思います。hisakuniさんが手掛けられた「360°星のオーケストラ」も、「おっ、こういう歌い方が来たか!」と感じました。曲自体も壮大でドラマチックで。

hisakuni:僕がそれまで担当していた「らぶれたーふろむかぐや」や「チョコレイト・ブギウギ」は元気なタイプの曲でしたが、「360°星のオーケストラ」では、竹達さんがシリアスに歌ってくれて、悠木さんがそこに声を重ねてくださって。そうすることで、独特の世界観を表現してもらえたように思います。

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