『刀剣乱舞』発の“刀剣男士”、ソロデビュー歌手も在籍するエンタメ力の高さ 『紅白』出演への期待

 『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)の企画コーナーに、“刀剣男士”が出演する。

『ミュージカル『刀剣乱舞』 〜結びの響、始まりの音〜』(通常盤)

 登場するのは「世界で人気のジャパンカルチャー」と題した企画。海外でも高い支持を集めるアニメやゲームコンテンツから生まれたグループを紹介するコーナーで、『ラブライブ!サンシャイン!!』に出演した女性声優たちによるAqoursとともに、紅白だけのスペシャルパフォーマンスを繰り広げる。

 “刀剣男士”に馴染みがない方のために簡単に説明すると、彼らはPCゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』に登場するキャラクターだ。実在する日本の刀剣を擬人化したイケメン風のビジュアルが特徴で、プレイヤーは彼らを仲間にしながら物語を進めていく。リリース直後から女性ファンの間でブームが巻き起こり、舞台やミュージカル、アニメなどメディアミックスにも発展。中でも若手俳優を起用したミュージカルの人気はすさまじく、新作が上演されるたびにチケットは即完売。2017年には中国公演、2018年にはパリ公演を成功させ、今や日本を代表するコンテンツとなっている。(参照:ゲーム、舞台、アニメを席巻! 『第69回NHK紅白歌合戦』出場を決めた“刀剣男士”の魅力を解説

 キャラクターについては、刀の数え方にならい、一振り、二振りと数えるが、紅白に出演するのは以下の19振り。三日月宗近(黒羽麻璃央)、小狐丸(北園涼)、石切丸(崎山つばさ)、岩融(佐伯大地)、今剣(大平峻也)、加州清光(佐藤流司)、大和守安定(鳥越裕貴)、和泉守兼定(有澤樟太郎)、堀川国広(阪本奨悟)、蜂須賀虎徹(高橋健介)、長曽祢虎徹(伊万里有)、にっかり青江(荒木宏文)、千子村正(太田基裕)、蜻蛉切(spi)、物吉貞宗(横田龍儀)、髭切(三浦宏規)、膝丸(高野洸)、陸奥守吉行(田村心)、巴形薙刀(丘山晴己)とのこと。企画コーナー内で「刀剣乱舞~出陣!紅白歌合戦~」を歌唱するほか、演歌歌手・山内惠介が「さらせ冬の嵐」を歌唱する際にも登場し、異色のコラボが見られるという。  

 ミュージカルや舞台を基盤にしながらも、メンバーの中には歌手としてソロデビューしているアーティストも在籍している。たとえば佐藤流司はRyujiとしてバンド・The Brow Beatを結成し活動中。PENICILLINのHAKUEIがプロデュースを務め、ヘヴィでオルタナティブな骨太なサウンドがファンを魅了している。また、阪本奨悟は弾き語りをメインにしたシンプルな楽曲でシンガーソングライターとして精力的にライブなども行っているほか、崎山つばさは和楽器集団・桜menとコラボし、崎山つばさ with 桜men名義で2017年にデビュー。先日、ソロ作品として、1st ALBUM『UTOPIA』を発売したばかりだ。伊万里は、シンガー/ラッパーとして8月にソロデビュー。デビューEP『My Name Is...(マイ・ネーム・イズ...)』のリード曲「Am I Your Boyfriend」ではspiとコラボし、アーバンな楽曲に乗せてラップを披露している。ミュージカルの世界を飛び出し、音楽シーンでも活躍するメンバーが続出しているということは、パフォーマンスのレベルの高さの証。紅白の大舞台では殺陣も見どころとなるだろうが、それぞれの歌唱面にも期待がかかる。

 披露される楽曲「刀剣乱舞~出陣!紅白歌合戦~」は、2016年に彼らが刀剣男士 team三条 with加州清光名義でリリースした「刀剣乱舞」をメインに据えたパフォーマンスになると思われる。ドラマチックなイントロからメンバー全員が声を揃えるサビではじまり、Aメロ、Bメロはそれぞれのソロで歌い継いでいく展開。刀を使った振り付けやミュージカルさながらの殺陣も盛り込み、紅白らしい、華麗なステージングが見られることだろう。ファンはもちろんのこと、今回初めて目にする視聴者にとっても忘れられない一幕となりそうだ。1年の音楽シーンを締めくくる紅白のステージで、刀剣男士たちが舞う姿をしっかりと目に焼き付けたい。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

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