GLAY TAKURO ソロライブから感じたメロディメイカーとしての円熟味 贅沢な時間を堪能した一夜

GLAY TAKUROソロライブレポ

 TAKUROが普段自宅で、お酒を飲みながら音楽を楽しむのも、きっとこんな雰囲気かもしれない……。GLAYのギタリスト・TAKUROが12月25日と26日に神奈川・Motion Blue yokohamaで、『GLAY TAKURO Solo Live 平成最後のTAKUROとChristmas 2018 〜Journey without a map 2018〜』を開催した。クリスマス当日の25日は、「こんな大事な日にも関わらず、足を運んでくれてありがとう。どこよりも楽しくて、色気のある夜にしますので、楽しんでくださいね!」と集まったファンに語りかけ、2月27日に発売予定の『Journey without a map Ⅱ』に収録される新曲を含めた全9曲を披露して、集まったファンにジャジーで雰囲気満点の大人の夜をプレゼントした。

 TAKUROは、2016年に初のソロアルバム『Journey without a map』をリリースし、翌年の2017年にはそれに伴うソロツアー『Journey without a map 2017』を開催している。メンバー全員がソングライティングを手がけるGLAYにおいて、TAKUROはメロディメイカーとして「HOWEVER」や「BE WITH YOU」「ずっと2人で」など、普遍性のある名曲を数多く生み出してきた。TAKUROのソロは、ギターによるインストゥルメンタルではあるが、まるでボーカリストが歌うかのようにメロディを奏でるギタープレイが実に印象的だ。この日のライブでは、ジャズテイストを増したアレンジで楽曲を聴かせ、集まった観客は、食事やお酒と共に演奏を満喫した。

 ステージは、アルバム『Journey without a map』の1曲目に収録されている「Lullaby」で幕を開けた。ゆったりと刻まれるリズムに合わせて、丸みを帯びた音色のレスポールがキャッチーなメロディを奏で、そのギターと呼応するかのように、サックスが軽快に吹き鳴らされた。「故郷の北海道をイメージした曲」と紹介した「Northern Life」は、TAKUROが奏でるゆったりしたメロディが、北海道の雄大な自然を彷彿とさせ、荒ぶるようなリズムの展開からは、北海道の冬の厳しさが感じられた。そこからメドレーで披露された「Guess Who」では、一転してジャズ調の展開を繰り広げる。実にテクニカルで、でも同時にエモーショナルさもある演奏に、観客はグラスを傾けながらジッと音楽に聴き入った。

 「今宵もみなさんを地図のない旅へと、誘おうと思います」とのコメントから始まった、「Istanbul Night」では、ベテランのいぶし銀のプレイと、若手の瑞々しいセンスが火花を散らす、丁々発止の熱い演奏を繰り広げて、聴く者を熱くさせてくれた。この日、TAKUROと共にステージに立ったバンドメンバーは、ドラマーのToshi、ピアノのtatsuya、ベーシストの石井ゆかこ、そしてサックスプレーヤーの米澤美玖という面々。石井は、エレキとアップライトのベースを使い分けながら、ときに妖しくときに熱くプレイを披露する。米澤は、TAKUROにうながされるようにセンターに立つ場面もあり、エキサイティングにサックスをプレイし、ときにはTAKUROと見つめ合いながら、艶のある演奏を繰り広げた。

 2ndソロアルバム『Journey without a map Ⅱ』に収録予定の楽曲も、いち早く披露してファンを楽しませた。たとえば「SARAH 派手にやれ!」は、ロック調のワイルドなナンバー。フレーズを一緒に口ずさむようにしてギター演奏を聴かせ、ときおりかけ声をかけてメンバーと息を合わせた。ギターがメインではあるが、各楽器が入り乱れながら即興演奏のようにソロを奏でていく様子は、実にスリリングでもある。また、アンコールで披露した「やすらぎのチセ」は、やさしく牧歌的な雰囲気のギターフレーズが印象的な楽曲。タイトルの「チセ」は、アイヌ語で家という意味とのことで、「ここが自分の帰る場所であることを証明したい」とコメントして演奏した。目を閉じて、チョーキングを効かせながらギターを弾くTAKURO。どことなく懐かしさを感じさせ、包み込むような大きさがある楽曲で、途中でジャジーになるなど、多彩な展開があるのも聴きどころといった印象だった。

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