でんぱ組.inc、夢眠ねむ卒業で示した過去・現在・未来の姿 驚きと涙と感動が詰まった武道館2日間

でんぱ組.inc武道館2デイズ振り返る

 でんぱ組.incが、2019年最初のワンマンライブ『でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館』を日本武道館2デイズで開催した。初日の1月6日は『ワレワレハデンパグミインクダ 〜宇宙からの帰還〜』、2日目の7日は『夢眠ねむ卒業公演 〜新たなる旅立ち〜』と違うサブタイトルがつけられ、2日間それぞれ異なる内容のライブが展開された。2日目のタイトルにもあるように、今回のライブはでんぱ組を初期から支えてきたメンバー夢眠ねむの最後のステージでもあった。まさにアイドルの卒業ライブの歴史を更新する、素晴らしい晴れ舞台が繰り広げられた。

 簡単に武道館2デイズまでの流れをおさらいしよう。でんぱ組.incは、2017年12月30日の大阪城ホール公演で鹿目凛、根本凪が新メンバーとして加わり7人編成となった。そこから宇宙に飛び出し、約1年間『コスモツアー』で様々なライブを経験。2019年1月1日元旦に、ニューアルバム『ワレワレハデンパグミインクダ』をリリースし、日本武道館2デイズライブにたどり着いたというのが本公演へのイントロダクションだ。

 まずは初日の公演の模様をお伝えしよう。オープニング映像で、メンバーを乗せたUFOが不時着し、ステージの幕が開くと巨大なUFOが出現。UFOが上昇すると、でんぱ組.incのメンバー7人が姿を現し「太陽系観察中生命体」を歌唱していく。強烈なインパクトの演出に、超満員の観客は早くも大熱狂。バックを固める演奏陣は、ホーン、ストリングスを加えた大所帯のでんでんビッグバンド。彼らは、複雑な楽曲を熱いサウンドで奏で、メンバーの歌とダンスをガッチリと支えていく。UFOに大所帯バンドというと、P-FUNKのParliamentやEarth, Wind & Fireといった音楽の系譜をつい連想してしまう。ユニティとピースとパーティを提供するグループは時空を超える、ということを実感した。

 初日は、新年一発目のライブらしく、「NEO JAPONISM」「ちゅるりちゅるりら」など和なフレイバーのお祭りチューンを披露し、めでたく2019年のスタートダッシュを彩る。本編ラストの「サクラあっぱれーしょん」で、夢眠はこの日しか来れないファンに大声で「バイバーイ!」とシャウトした。この1年間で培ってきた現在のでんぱ組.incの強さを、存分に見せるライブとなった。

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 そして2日目は、夢眠のアイドル人生最後のライブの日であり、でんぱ組の新たな旅立ちの日。メンバー7人は、初日と同じくUFOから登場し「太陽系観察中生命体」でライブをスタートさせる。夢眠のイメージカラー、ミントグリーンに埋め尽くされた会場で、彼女は「今日の主役です!」と声を上げる。さらに夢眠は、強がっての「絶対泣かない!」宣言。

 この日のセットリストは、夢眠自身が「やりたい曲だけ集めました」と考案したもの。「ギラメタスでんぱスターズ」「VANDALISM」「バリ3共和国」と、ハードなぶちアゲチューンの連続で観客をヒートアップさせる。ある意味この激しさは、夢眠の全てを出し切る覚悟のようにも感じられた。「でんぱれーどJAPAN」の終わりは、普段、古川未鈴が一人立ち上がり片手を上げて締めるのだが、この日はその役割を夢眠が担った。その後、夢眠と古川が拳を交わし肩を組んで帰るという名シーンも飛び出した。

 ライブ中盤戦は、夢眠がでんぱ組.incの原点・ディアステージでの出来事を振り返る映像から、初期のでんぱ組.incクラシックのコーナーに突入。「わっほい?お祭り.inc」「ピコッピクッピカッて恋してよ」「電波圏外SAYONARA」、そしてCDデビュー曲「Kiss+kissでおわらない」を7人体制で歌唱した。

 そして、鹿目と根本の『教えて先輩』のコーナーで、根本が夢眠に「卒業ライブなので、メンバーひとりひとりに挨拶はしないんですか?」と聞くと、夢眠は「しない。言いたいことはパンフレットに書いたので。それよりも曲をやりたい」と回答。いわゆるアイドルグループの卒業式の常識を覆した。これまでも、アイドルとして新たな地平を切り開いてきたでんぱ組.incだけに、こうした型破りな感じはとても彼女たちらしいという印象を受けた。

 さて、基本アゲアゲで進むライブの中で歌われた、ミディアムポップな「くちづけキボンヌ」にはかなりグッと来るものがあった。「あした地球がこなごなになっても」では、古川が涙し大サビを歌えないという場面も見られた。

 しかし、このままで終わるでんぱ組.incではない。ライブ後半戦は、「FD3, DEMPA ROCKET GO!!」「キラキラチューン」と、さらなるアップチューンでたたみ込む。夢眠の卒業曲「エバーグリーン」が歌われると、まばゆいばかりのミントグリーンの光に武道館が包まれた。

 そしてMCで夢眠は、「私の最後のわがままを聞いて欲しいです。私のメンバーカラーのミントグリーンをもらって欲しい人がいます」と語り、その相手に根本を指名。根本は、でんぱ組加入以前から夢眠をリスペクトしてきただけに、夢眠からの頼みを「ハイ!」と大きな返事で快諾。ファンから大きな拍手が送られた。さらに夢眠は、「エバーグリーン」を、ファンがペンライトをグリーンに染める色曲としてこれからも歌い続けて欲しいとお願いすると、メンバーも笑顔で承諾した。

 夢眠ねむのスピリットを伝承したでんぱ組.incは、「でんでんぱっしょん」を力いっぱい歌唱。7色のリボンを使ったパフォーマンスをバッチリと決め、ライブ本編は終了となった。

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