PENGUIN RESEARCH、右肩上がりの成長の集大成 すべてがハイレベルなツアーファイナルを見て

PENGUIN RESEARCH ツアーファイナルレポ

 5人組ロックバンド、PENGUIN RESEARCHが1月4日にライブツアー『Penguin Go a Road 2018-19「WILDに行こうぜ!」』の最終公演を渋谷TSUTAYA O-EASTにて行った。

 このツアーは昨年9月に発売した4thシングル『WILD BLUE/少年の僕へ』のリリース後のツアーで、千葉・名古屋・大阪・東京の計4会場で開催されたもの。2016年のデビューから約3年が経ち、右肩上がりの成長を見せてここまで来た彼ら。その集大成をこの会場に詰め込んでいる。

 開演するとメンバーが現れ、ひとりずつ拍手で迎えられると1曲目「WILD BLUE」を披露。冒頭の「カモン、カモン、カモン、カモン」を会場全体が大合唱で叫ぶ。重厚なサウンドと疾走感のある展開は、ボカロPとしての顔も持つコンポーザー・堀江晶太の手腕だ。声優としての活動も行う生田鷹司のボーカルは抜けが良く、歌詞の一語一句まで聞き取りやすい。高速の彼らの曲でも歌詞がしっかりと伝わってくる。

 ロックを基本軸としつつもメロコアやメタルなど幅広い音楽性を吸収した楽曲スタイルは、ジャンルを分け隔てなく聴く現代の若者たちの心を鷲掴みにしている。現に、会場には若いファンが詰め寄せており、活き活きとしたエネルギーで溢れていて、バンドメンバーが何かアクションを起こすと観客側からはアクティブな反応が返ってくることが多い。2曲目の「boyhood」でも〈Hey boy,Hey boy〉の掛け声や歌詞の掛け合いが見事に完成されていた。バンドとファンの一体感、楽曲の勢い、高揚感。すべてがハイレベルで進行していく。

 続いて披露した「敗者復活戦自由形」では、生田の天井に高く突き上げた拳にファンの差し伸べた腕と視線が突き刺さる。その光景は、彼らがこれからの活動で向かう未来をオーディエンスが後押ししているかのようだった。まさにバンドがスターダムへと駆け上がっていく瞬間とそれを支えるファンの姿である。

 今回のツアーでは、各会場でメンバーひとりずつがやりたい曲を持ち寄るという企画を行った。最終日のこの日は生田が選んだ「songwriter」を披露。もとは生田が声を担当するリズムゲーム『バンドやろうぜ!』内のキャラクター・東雲大和のキャラクターソングだが、「PENGUIN RESEARCHは行けるとこまで行きたいけど、その中で俺、大和も連れて行ってあげたいと思ったんだよね」と明かし、ある意味セルフカバーのような形となったわけだ(作詞曲は堀江晶太である)。キャラソンとはいえ、カバーしている彼らの現在の姿にも重なる選曲とこの貴重なステージに、曲が終わると号泣するファンが続出。序盤の熱気を少し落ち着かせたところで、次に披露したのは「BUREIKO TIME」と「アジテーション・パレード」。タオルを振り回して楽しめる楽曲に再び会場の興奮は最高潮となる。

 後半は間髪入れずに曲を畳み掛ける。1stシングル『ジョーカーに宜しく』から「嘘まみれの街で」「シニバショダンス」「Alternative」「近日公開第二章」「愛すべき悩みたちへ」へと駆け抜けた。終演となっても会場はまだまだ物足りないような雰囲気で、すぐさまアンコールの嵐に。アンコールでは「少年の僕へ」を披露。その後はMCをする予定だったが、急遽曲を演奏することになり「ツアーが楽しかったかどうかを俺らに歌って聞かせて」と堀江が話すと、「敗北の少年」をバンドが演奏し歌はファンが行う形をとった。この粋な計らいに会場も湧き立つ。会場はファンの大合唱で包まれた。最後に「ハードロック★パラダイス」で締め、この日の公演を終えた。

 すでに次のツアーの開催も決定しているPENGUIN RESEARCH。ツアーファイナルの会場も決まり波に乗る彼らの勢いから目が離せない。

photo by Viola Kam (V`z Twinkle)
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(photo by Viola Kam (V'z Twinkle))

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
blog
Twitter(@az_ogi)

■セットリスト
boyhood
songwriter
ハートビートスナップ
千載一遇きたりて好機
WILD BLUE
敗者復活戦自由形
BUREIKO TIME
アジテーション・パレード
ジョーカーに宜しく
嘘まみれの街で
シニバショダンス
Alternative
近日公開第二章
愛すべき悩みたちへ

アンコール:
少年の僕へ
敗北の少年
ハードロック★パラダイス

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