King Gnu、『Sympa』でチャート初登場4位の快挙 常田大希の“鬼才”ぶりに注目

参考:2019年1月28日付週間アルバムランキング(2019年1月14日~2019年1月20日・ORICON NEWS)

 4週連続で首位をキープしていた星野源『POP VIRUS』がついに5位へとダウン。それでもこの1週間で約1.2万枚のセールス、累計では軽く35万枚を突破しており、彼が現在Jポップシーンの覇者であることは疑いようのない事実となりました。

 インストバンドのSAKEROCKを経てソロに至った星野源の“根っこ”については前回書きましたが、作品をリリースしていた当時所属していたのは、名門インディレーベル/マネジメント会社のカクバリズムでした。もっとも、活動の規模がだんだん大きくなり、インディでは手が回らないと判断したのか、2015年からはアミューズに移籍。これは大手事務所が目をつけ、養成し、満を持して売り出すといった、昔ながらの“スター誕生”とは異なるストーリーです。

 星野は移籍以降、より大胆不敵なポップソングを書き出すようになりました。『POP VIRUS』の考え抜かれたアレンジや参加ミュージシャンの豪華さを知れば知るほど、本人が誰より楽しんで実験的に攻めていることが伝わります。そういう曲がタイアップによって街中でガンガン流れだし、真似したくなるダンスが加わることでさらに広く普及していく。これは新しいヒットメイクの形だなと唸らされます。

King Gnu『Sympa』(通常盤)

 同じ現象になるでしょうか。今週の注目株は、4位に初登場したKing Gnuの『Sympa』。アルバムは1.7万枚のセールスで週間ランキング4位に登場、ダウンロードやストリーミングも含めた合算ランキングでは3位を記録しています。 ほんの2年前に今の名前に改名し、King Gnu名義での1stアルバム『Tokyo Rendez-Vous』1枚で一気に“ブレイク前夜”状態となったこのモンスターバンドについては、もう格好いいの一言に尽きます。恐ろしくハイセンスな東京の空気、アンダーグラウンドの刺激や棘をばっちり取り入れながらも歌謡曲的という音楽性が何より新しいのですが、それ以外にも大事な注目点があります。

 リーダーの常田大希(Gt/Vo/プログラミング)は、前身バンドの時代から「PERIMETRON」を主宰している人物。これはプロデューサー、スタイリスト、デザイナー、映像作家などが集まった若きクリエイティブ集団で、バンドのMVや物販のデザインはもちろん、他のアーティストのMV、そのほかファッションブランドやコスメブランドの仕事も手がけてきました。つまりKing Gnu・常田は、いい音楽は作れる、でも宣伝方法がわからない、というタイプの天才ではない。クールなものをどう作り、どう見せて広めていくか。すべて自分でジャッジできる、10年に1人レベルの鬼才といえるでしょう。

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