飯田里穂、思い出の場所で交わした“ただいまとおかえり” 2年ぶりに立ったライブのステージ

飯田里穂、“ただいまとおかえり”のライブ

 今年の7月で芸能生活20年目を迎える飯田里穂。小学2年生の時に子役としての活動をはじめ、小学5年生から中学2年生まで『天才てれびくん』シリーズにテレビ戦士として出演。19歳からは『ラブライブ! School idol project』に星空凛役で参加。声優ユニットμ'sとしての活動も開始し、声優デビューや東京ドーム公演、紅白歌合戦出場も果たした。子役は大成しないというレッテルも乗り越え、タレント、女優、声優、シンガー、ラジオパーソナリティーと多方面で活躍するようにもなっていった。

 いい時もあったろうし、上手くいかないなと感じていた時もあったと思うが、どんな日々だって無駄じゃなかった、今が一番楽しいと自信を持っているからこそ笑顔で言える“Special days”。その言葉は、彼女のこれからの道のりを光り輝かせている。東京・神田明神の境内に昨年12月にオープンしたばかりの神田明神ホールにて行われた『Riho Iida Tour 2019 -Special days-』の最終公演は、そんな彼女の刹那の思いと歴史の重みを感じることができるライブとなっていた。

 約2年ぶりとなるライブは、昨年9月にリリースされたミニアルバム『Special days』の収録曲で、自身が作詞を手がけた「Re:start」で幕を開けた。満員のお客さんによる熱い声援に感動しながら「ただいま」と柔らかな笑顔で歌いかけ、ここが私が帰ってくる場所なんだと伝えると同時に、またここから新しい世界へと歩みを進めていくことを誓った。続く、「Join Us !!」では一転して、「明日はどうなってもいい! 叫べー!!」と声をあげ、等身大の私と一緒に楽しもうと歌い、2016年にリリースされたメジャーデビューシングル曲「KISS! KISS! KISS!」では、拳を上げて盛り上がる観客に投げキッスをプレゼント。最初のMCでは、「みなさんのおかげでファイナルを迎えることができました」と感謝を伝え、「ヤバイヤバイ。感無量、感無量。でも、涙は見せたくない。……なんかそわそわしちゃうね」と正直な心境を吐露した。

 最新のミニアルバムの収録曲で、つじあやのが作詞したロックナンバー「聞こえてくるのは君の声」から彼女が小学6年生の時に『天才てれびくん』でカバーした、つじあやの「サンデーモーニング」へという向かう中では、初の口笛も披露した。それまでのツアーでは、サポートを務めているアニソンカバーバンド、流田Projectの流田が担当。この日は満を持して彼女が吹くことになったのだが、「聞いてください」と気持ちを作った後に、「あはははは。ちょっと待って!」と笑い出すと、バンドメンバーに加えて、観客も全員ずっこけるというシーンもあったが、2度目に成功した際には場内から拍手がわき起こった。

 そして、「ソロとしての始まりの曲で、とても大事な曲なので、リスタートするセットリストの中に入れさせていただきました」と説明した「始まりたいカノン」に続き、「ここは神田明神でございます。この歌をこの場所で歌おうって決めてました」と語り、ラブライバーの聖地となっている神田明神で、μ'sの隠れた名曲「輝夜の城で踊りたい」を、巨大な扇子を持って当時のフリのままで踊り、「一緒に行こう?」というセリフもフィーチャーし、ファンを喜ばせた。さらに、自身初のアニメタイアップ曲で、『デジモンユニバース アプリモンスターズ』EDテーマに起用された筒美京平作曲の80’s AOR歌謡「青い炎シンドローム」でクールダウンさせ、公私ともに親交の深い南條愛乃作詞の「まだ言えないけど、○○○」では、〈I Love You〉の大合唱となり、ステージ上の飯田は嬉しそうな笑顔を見せた。

 昨年11月にリリースされた最新シングル『いつか世界が変わるまで』のカップリングに収録された「GLITTER」からスタートした後半戦は、彼女が再出発と位置付けたミニアルバムのコンセプトとなっていた90年代のJ-POPサウンドを連発し、“これから”の方向性をはっきりと示した。最後にアニメ『寄宿学校のジュリエット』のEDテーマとなったポップナンバー「いつか世界が変わるまで」を透明感あふれる伸びやかなボーカルで歌いあげ、会場を温かいムードで包み、観客全員が一体となったジャンプで本編を締めくくった。

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