増田俊樹が踏み出した音楽活動の第一歩 アニバーサリーイベントで届けた誠実な歌声

増田俊樹、アニバーサリーイベントレポ

 3月6日に1st EP『This One』をリリースしてCDデビューを果たした声優の増田俊樹が、29歳の誕生日当日である3月8日に東京・マイナビBLITZ赤坂で、アニバーサリーイベント『増田俊樹 Anniversary Event -This One-』を開催した。トークパートとライブパートの2部構成で、ライブパートでは『This One』収録曲に加えてカバー楽曲も披露。緊張しながらも音楽活動の第一歩を力強く踏み出した一夜になった。

表現者としての未知数の可能性

 登場早々「まだ地に足が付かない。手が震えてる」と笑いながらも緊張した様子の増田に、会場からは黄色い歓声が上がる。トークパートでは、まずは『Making of This One』と題して、1st EP『This One』のレコーディングの様子、ジャケットやMV撮影の様子を観ながら、制作時の思いを語った。

「どの曲も最初は、自分の人生に置き換えてみても、なかなか想像がつかなくて、どう表現していいかわからなかった。でも曲を聴き込んでいくうちに、この曲を歌うのはこういう人かもしれない、この曲に存在する登場人物はこういうことが伝えたいんじゃないか、こういう考えを持ってるんじゃないかと想像することができた。聴いた人達がどう感じて、どう楽しんで、どう影響を受けるのかを想像すると、自分が歩んできた人生とは少し違う歌詞であっても、それを歌で表現するのは楽しいことだと発見できました」

 また、会場に集まったファンからメッセージを募集し、箱からランダムに取り出しながらメッセージに応えた。中には29歳にかけて「好きな肉の部位は何ですか?」という質問もあり、ダイエット話に絡めて「ヒレ肉です」と答えて笑わせる場面も。表現という部分に話が及ぶと、「自分が選んできた道を間違いにはしたくない。表現にはいろいろなジャンルがあり、一つひとつ挑戦していく中で、音楽は新たな表現の一つだと考えている。どんな表情、表現をすればいいか、僕自身まだわかっていないけど、それがどんなものになるか楽しみに活動していきたい」と話した。

 2011年から声優として活動し、これまで数多くのアニメやゲーム作品で声優を務めると同時にキャラクターソングを歌ってきた。その増田が今新たに挑戦している音楽は“自己表現”であり、そこには舞台やアニメのようにシナリオや原作があるわけではない。自分自身と真摯に対峙することでしか生み出されない表現がある。そこで感じる孤独、不安、葛藤。楽曲「風にふかれて」には、それらの感情を乗り越えて少しでも前に進もうとする、強い思いが込められていると感じる。増田の真剣な表情に、うんうんとうなずきながら、観客は言葉一つひとつを聞き逃すまいとして耳を傾けていた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる