竹内美宥、高橋朱里、川村真洋…日本人アイドルの韓国デビュー続出 『PRODUCE 48』軸に考える

 K-POPの世界では10年以上前から多国籍なメンバーでグループが構成されることが主流になっている。それは、アジアからアメリカ、ヨーロッパに至るまで、世界規模でファンダムが拡大したことに対応するためでもあったし、またその結果としてK-POPに憧れる子どもたちが韓国に集結し、韓国でデビューするようになったからでもある。

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 GOT7のジャクソンやベンベン、BLACKPINKのリサなど、例をあげれば枚挙にいとまがないが、特にここ数年でデビューしたK-POPグループを思い浮かべると、外国人メンバーがいないグループのほうが少ないのではないかと思うほど当たり前になってきている。

 日本人がK-POPグループに参加するようになったのは割と遅く、2011年にデビューしたM.I.Bのカンナムが初となる。その後、CROSS GENEのタクヤ(現在は脱退)、PENTAGONのユウト、NCTのユウタやJBJ95の髙田健太など、3年ほど前からボーイズグループに日本人メンバーが急激に増えていった。

 ガールズグループではTWICEのサナ、モモ、ミナをはじめ、H.U.Bのルイや公園少女のミヤ、NATUREのハル、Cherry Bulletのメイ、ココロ、レミなど続々とデビュー。彼女たちはK-POPに憧れ、K-POPアイドルとしてデビューするために韓国に渡り、韓国でトレーニングを受けてデビューしたケースだが、ここにきて、まったく別のルートでK-POPにたどり着く人が増えてきた。IZ*ONEの宮脇咲良や矢吹奈子、本田仁美のほか、彼女たちと同じ『PRODUCE 48』(Mnet)に出演していた高橋朱里、竹内美宥など、日本ですでにアイドル活動をしていたにもかかわらず、韓国でのデビューを選んだケースだ。2019年2月にデビューしたZ-GIRLSのマヒロこと川村真洋(元乃木坂46)も同様。なぜ彼女たちは次なる活躍の場に韓国を選んだのか。

 まずは高橋朱里と竹内美宥が参加した『PRODUCE 48』に思いを馳せてみたい。『PRODUCE 48』は韓国で大人気のサバイバル形式オーディション番組『PRODUCE 101』の3シーズン目にあたる。前2作とは違い、日本からAKB系列のメンバーが参加することで放送前から話題になっていた。初回では、まずトレーニングのためのレベル分けテストが行われる。厳しいトレーナーたちの前でも堂々と歌い、踊り、自分の魅力をアピールする韓国人練習生が目立つ一方で、すでにデビューしてステージにも立っているはずの日本人メンバーのほとんどが酷評されていたのが対照的だった。

 日本で長く活動しているバンド・FTISLANDのホンギが、他のトレーナーたちに日本と韓国のアイドル像の違いについて説明した内容も印象的だった。韓国では実力がすべてで、デビューする時には歌もダンスもできて当然。一方、日本には練習生システムがなく、歌もダンスも自分たちでレッスンしなければいけない。その前に、日本と韓国ではそもそもアイドルに求められるものが違うのだと。

 彼女たちは、最初に苛烈な洗礼を受けることにはなったものの、これまで本格的なレッスンを受けていなかったというだけで、地力で劣るわけではない。韓国人練習生と同じように厳しいレッスンに耐えていくうちに、次第に実力をつけていく。トレーナーからの評価は厳しくても、ステージで輝く方法を知っているのはそれまでの経験があればこそ。そんな彼女たちが成長していくにしたがって、韓国のファンもどんどん増えていった。特に竹内美宥は歌唱力の高さと作曲能力、そしてどんな時でも韓国語で話そうとするいじらしさで人気が爆発。これまで日本の『AKB48総選挙』では一度も100位以内に入ったことがないことを考えると、一番違いを実感したのではないだろうか。

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