“さなりくんに騙される”のも悪くない? 16歳ラップアーティストが見せた“これからの可能性”

さなりがライブで見せた“これからの可能性”

 さなりが、3月16日に東京・MAGNET by SHIBUYA109の屋上MAG's PARKのイベントスペースにて招待制のフリーライブ『さなり フリーライブ~さなりくんには騙されない。~』を開催した。

 さなりは、2017年1月に開催されたオーディション『OverFlow Project』でグランプリに輝いた、16歳のラップアーティスト。小学校時代よりオリジナル動画の投稿やラップミュージックに親しみ、現在までYouTubeを中心に楽曲リリースを行なっている。ラップはもちろん、自身でトラックメイクも手掛けるなど、同時代性を感じさせる存在だ。

 さなりの知名度を全国区に知らしめたのが、現在放送中の恋愛リアリティーショー『白雪とオオカミくんには騙されない♥』(AbemaTV)である。今回のライブタイトルも、同番組をオマージュしたもの。当日の参加者は3,000名を超える応募より選ばれた。そんなライブは、さなりが秘める“これからの可能性”を多大に期待させる内容だった。

 そのステージで特筆すべきは、さなりが一貫して“ポップネス”を放つ存在だったことだろう。1曲目「悪戯(prod.SKY-HI)」こそ、不穏なトラップビートの上で切れ味鋭い歌声を聴かせたが、続く「いつも通り」からは優しい声色でラップを披露した。なかでも「FREE STYLE」と「BLUE」は、フロアが特に好印象を示した楽曲。ダンサブルなトラックに対して、小節の区切りごとにきっちりとライムを落とすなど、小気味良いリズムでファンの肩を揺らしていく。最後には、最新シングル曲「Prince」を歌唱。その歌声に込められた“切ない王子様”としてのバイブスは、オートチューン越しにもはっきりと受け取ることができた。

 そんなさなりは、今回が4回目のステージだったとのこと。それにも関わらず、彼のステージでの佇まいには、ライブ慣れした感触さえ感じられた。また、そのスムースなフロウも音源さながら。そのすべての土台となる、ボーカリストとして重要な聴き取りやすい声量も確認できたところで、現時点で満点ともいえるパフォーマンスだったといえる。また、ライブ終盤には、6月5日に1stアルバム『SICKSTEEN』を発売することを発表。この作品をきっかけに、また新たなファンを呼び寄せるのはもちろん、ひょっとすると、ステージから見える光景も大きな変貌を遂げるのかもしれない。

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