細野晴臣と安部勇磨が語り合った『HOCHONO HOUSE』の魅力「宝物を開けた感覚でした」

細野晴臣×安部勇磨『HOCHONO HOUSE』を語る

 細野晴臣がMCを務めるラジオ番組『Daisy Holiday!』(InterFM、3月17日O.A.)、never young beachが水曜日のナビゲーターを担当する『THE KINGS PLACE』(J-WAVE、3月20日O.A.)で、細野と安部勇磨(never young beach)が細野晴臣の新作『HOCHONO HOUSE』について語り合った。

 『Daisy Holiday!』には安部がゲストとして出演。1973年にリリースされた『HOSONO HOUSE』を細野自身がリアレンジ、新録した『HOCHONO HOUSE』制作の直接のきっかけが安部の言葉だったこともあり、オープニングで「感動というか感謝しかなくて。まだこんなすごいものを聴かせてくれるか! と」と感想を伝えた。

 「音もすごく新しくて、“これ、どうなってるんだろう?”と宝物を開けた感覚でした」という発言に対し、細野は「『恋は桃色』なんて、ピコピコいってるでしょ? (アレンジしているとき)安部くん、どう思うかな? って。驚いてもらえたら成功」とコメント。

 続いて「『HOSONO HOUSE』のアナログ盤を聴いたら、すごくいい音だったって言ってたでしょ? どこが良かったの?」と細野が質問すると、安部は「きれいに鳴ってるのがいい音ではなくて、過程が音に出ていたり、魔力みたいなものが宿ることがあるんだなと」と回答。「こうなんだとはっきりわからないことがおもしろいんだよね」と細野が返すと、安部は「わからないからこそイメージをかきたててもらえる。それがすごく魅力的で」と感慨深そうに話した。さらに『HOSONO HOUSE』のデモ音源がいまも残っていて、それが『HOCHONO HOUSE』のアレンジのもとになったという話から、「え、デモが残ってるんですか?! 聴きたいです!」と安部が興奮気味に詰め寄る(?)場面も。

 その後、安部が「『僕は一寸・夏編』」の〈嵐の中を歩くのが好き/坂を登れば/きっと景色が変わる〉という歌詞を聴いて泣いたと告白。「若いのに……。だんだん恥ずかしくなってきた」「でも、作ってよかったよ」と苦笑いする細野とのやりとりも印象的だった。

 また、アルバムのブックレットに掲載されているセルフライナーノーツに歌詞のことにあまり触れられていないことを指摘されると、「歌詞については触れないようにしてるんだよね。恥ずかしいし、はっぴいえんどには大作詞家(松本隆)がいたからね。でも、密かにね、自分の詞は捨てたもんじゃないと思ってるけどね」と答えた。

 一方、『THE KINGS PLACE』には細野がゲストとして登場。ここでは安部が『HOCHONO HOUSE』制作に関するマニアックなトークを展開。まず「細野さんの声のエア感、響きの豊かさ、これは一体なんでなんだろう? と。歌うときのマイクの距離感はどうなんですか?」と質問。細野が「場合によって違うけど、大体近いかな」「今回はリボンマイクを使うことが多かったかな。『僕は一寸・夏編』はコンデンサー(マイク)だったけどね、珍しく。ちっちゃい声だったから、かなり近いところで歌った」と答えると、安部はすかさずメモを取る。

 さらにテーマは使用した機材について。「基本的には20〜30年前の機材なんだよ。これが必要だと思ったのは、ミックスするときのアプリケーション。iZotopeという会社のOzoneなんだけど、それを今回、途中でダウンロードして。もうひとつ、Studio Oneというアプリも使った」「ただ、『HOSONO HOUSE』は70年代のアルバムだから、その雰囲気を残しつつ、変えていきたいと思って。まあ、これは後付けの理屈なんだけど(笑)」と興味深いエピソードが続いた。

 続いては「恋は桃色」のアレンジについて。「これは打ち込みですが、他の選択肢もあったんですか?」と聞かれ、「いや、“打ち込みでやる”って小山田(圭吾)くんに言っちゃたから。他の曲は安部くんの顔が見えていたんだけど、この曲や小山田くんの顔が見えてたかな。驚かせたくなっちゃって」と回答。さらに「いまのハリウッド映画、ヒップホップなどの音はすごいと思う。自分がそれをやるかっていうと、ちょっとわかんないけどね」「自分なりの音を編み出したいというのはあるね」とコメントした。

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