KAT-TUNとともに育んだ絆 『タメ旅』番組スタッフが明かす、バラエティ通したメンバーの成長

『タメ旅』スタッフが明かすKAT-TUNの成長

 『タメ旅』の愛称で親しまれた『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』が、約3年ぶりに地上波復活! 『KAT-TUNの世界一タメになる旅!+(プラス)』(TBS系)と名前も新たに帰ってきた。

 4月17日放送の復活第1回は、“おめでたい”にちなみ鳴門鯛を釣る旅へ。KAT-TUNをイジりまくる天の声の相変わらずなムチャ振りにも難なく応えていく3人。亀梨和也が「#タイタイでいくから」とボケれば、上田竜也が即座に「タイがいにしろ!」とツッコミを入れる。バラエティ慣れしたやり取りに、天の声も「おおおお!」と思わずハイタッチ。中丸雄一もパチパチパチと拍手を贈る。上田の嬉しそうな笑顔に見ているこちらも頬が緩んだ。

 “バラエティのKAT-TUN”を作ったのは、紛れもなく『タメ旅』の愛。そこで、今回は彼らと共に旅を続けてきたプロデューサー・田村恵里、そして天の声こと演出家・マッコイ斉藤に、番組誕生から地上波復活までの道のりを聞いた。そこから見えてきたのは、学園ドラマのようなアツいKAT-TUNとの絆だった。(佐藤結衣)

KAT-TUNに、ゴリゴリのバラエティの洗礼を

――地上波復活、おめでとうございます。

田村恵里(以下、田村):ありがとうございます。

マッコイ斉藤(以下、マッコイ):(田村の服を見て)ねえ、今日インタビュー受けるからって、ピンクのワンピース着てきたの?

田村:そうです。

マッコイ:ちょっと~、春だから桜でピンクって、わかりやす過ぎなんじゃないの? もっと違うのにすればいいじゃん!

田村:いいじゃないですか!

――あ~、テレビで見ていた天の声の田村さんイジりが、目の前で(笑)。

田村:もう、このイジりに7~8年付き合ってるんですよ。

マッコイ:そんなに!

田村:そうですよ! もう、私もだんだん当たりが強くなっちゃって(笑)。

――(笑)。おさらいにはなるのですが、その歴史を振り返っていただいてもいいでしょうか。『タメ旅』が、どのようにスタートしたのかを聞かせてください。

田村:はい。まず、2012年1月に『ダメ夜』(『KAT-TUNの世界一ダメな夜!』)があったんですよ。「KAT-TUNに、マッコイ斉藤という演出家の、ゴリゴリのバラエティの洗礼を受けさせる」みたいな目的から始まったんです。TBSで「KAT-TUNで番組やります。演出は、マッコイ斉藤さんで」と企画して、私がプロデューサーということが決められ、初めてお会いするわけですよ。KAT-TUNとマッコイさんと私が。

マッコイ:最初、TBSどうかしちゃったかなって思いましたよ。「僕でいいんですか?」って、言ったぐらいですから。

田村:マッコイさん、レギュラーでジャニーズアイドルとメインで関わるのは、初めてだったんですよね。だから、アイドルにどこまでやらせていいかとか、そういう常識みたいなのが全然なくて。

マッコイ:わからなかったですね。何がダメで、何がいいのか。

田村:でも、最初からそんなルールをいろいろ言うのって「じゃ、マッコイさんに頼まなきゃいいじゃん」って、なっちゃうじゃないですか。そこは極力、私たちも理解を事務所にしてもらいながらやってました。だからこそ、通常できないこともやらせていただいて。

マッコイ:いっぱいやりましたね。熱湯風呂もやりましたし、熱々おでんもやりましたし……。

――まさにバラエティの洗礼ですね。『ダメ夜』の中で、マッコイさんが一番印象に残っているのは?

マッコイ:ピラニア風呂に入るっていう(笑)。

田村:あー、あのときピラニアがちっちゃくてね。しかも、偽ピラニアだったんですよね。

マッコイ:「なんだこれ! これじゃリアクションができないだろ。ピラニアって言ったら、ピラニアを用意するの当たり前だろ。なんでちょっと似たような、全然凶暴じゃないやつを持ってくるんだ」って怒って。収録が1時間半くらい押しちゃいましたよね。

田村:マッコイさんが「本物じゃないとダメだ」って言って、急きょ、揃え直したんですよ。「ピラニアありますか?」って、いろんなペットショップに電話して。

マッコイ:で、「亀梨くんのパンツにピラニア入れろ」って言ってね(笑)。

――わー! 田村さんはプロデューサーの立場的に「さすがに、それは……」とは、ならなかったんですか?

田村:正直、“マジで?”とは思いましたけど、そのころ私もまだプロデューサー歴が浅かったのもあって「斉藤さんがやるっていうんだったら全部やろう」という心持ちではいましたね。

カッコ悪いことをやり通すと、カッコよくなることを教えたかった

――そんな『ダメ夜』を経て、『タメ旅』としてスタートした背景は?

田村:2012年いっぱいで『ダメ夜』が終わったんですけど、2014年にTBSで「またKAT-TUNとマッコイさんとでバラエティをやろう」という話になりまして。で、プロデューサーも私になり、「今度は旅番組だ!」ということで特番で『タメ旅』がスタートすることになりました。ただ、やっぱり演出がマッコイさんなので「マッコイさんのハチャメチャを生かせるような旅にする」という方針になりました。

――KAT-TUNのみなさんとしては「また始まった……」となったんじゃ?

田村:はい。「また始まるのか……」な反応でしたよ(笑)。

――そこまで彼らを追い込める企画は、どうやって打ち合わせているんですか?

マッコイ:いや、打ち合わせなんか1分で終わりますよ。

田村:本当にそうです。1分で終わります。事務所さんやマネージャーさんには「こんなことをやります」とお伝えしますけど、本人たちは多分……。

マッコイ:毎回まっさらで現場に来てるんじゃないですかね。

田村:行き先くらいは共有されているかもしれませんが、具体的な内容まではちゃんと把握してないと思います。

――出たトコ勝負ということですか!

マッコイ:そうですね。リアルを大事にしています。

田村:台本にないことも、いきなりマッコイさんが思いついて、その場で言うこともありますし。

マッコイ:台本は目安であって、そこから外れるのが面白いと思うので。KAT-TUNも数年前からそれを感じ始めているのか、よっぽど不安なとき以外はこちらに聞いてこないですね。

――もう、どんな球が来ても打ち返すぞという感じで?

マッコイ:そのとおりです。

――番組が始まったばかりのころは、どうでしたか?

マッコイ:もう全然ダメでしたね。「どんな球か教えてくれないと」っていう感じでした。

田村:でも、それでもどんな球がいくか、マッコイさんは絶対に言いませんでした。だから、ぶつかるときも多少ありましたよね。

マッコイ:やっぱり彼らはアイドルという稼業をやっているわけですから。芸人さんのようなことをやらされたら「カッコ悪いじゃん」みたいな葛藤はあったと思いますよ。でも、こちらも引くわけにはいかないので。カッコ悪いをやり通すと、カッコよくなるっていうのを教えたかったんです。嫌なのはわかっていましたけど、首根っこ掴んでバラエティの世界に連れて行きました。

田村:決して楽しいだけではなかったと思いますよ。初回の青森とかも、本当に大変でしたから。

マッコイ:青森に行ったけど、寝るところが決まってないっていう。で、青森駅のあたりをウロウロして。しかも冬。「泊まらせてください」って歩いたんですよ、僕ら。

田村:あれは本当に寒かった……。24時間ほぼカメラを回して、行き当たりばったりで。でもあのロケ時は、まだ特番だったので、私もマッコイさんも「特番だからね」と言ってね。亀梨くんがずっと海沿いを運転してくれましたよね、何も言わずに。メンバーも「特番だから(耐えられるよね)」って頑張ってくれたんですけど、それがレギュラーになったときは、お互いに戸惑いがありましたよね(笑)。

――今でこそ“KAT-TUNはバラエティもイケる”という印象がありますが、当時はちょっと尖った印象がありましたよね。

マッコイ:いやー、尖ってましたよ。俺、『GTO』になった気分でした。“グレートティーチャー斉藤”に! ま、言ったって年下ですから。10歳も20歳も。どんなにキレられても、怖いだなんて僕は思ったことはないですけど。

田村:本当に、先生みたいでしたもんね。最初のころ、彼らも顔を合わせても、ほとんどしゃべらなかったので。もう『ダメ夜』のころなんか、私も震えるくらい怖かったですもん。「マッコイさん! 喋って!」って、演出の説明をお願いしていました。

――田村さんが怯えるほど尖っていた彼らに、ゴリゴリのバラエティをさせるって、下手したら腐らせてしまうんじゃないか、という不安はなかったんですか?

マッコイ:そこは、僕もバラエティを稼業としてやっていますからね。笑いを作るためだったら、いくらでも「やれ」って言いますよ。彼らが怒っている姿も、笑いに変えちゃえって思っていたし、上田くんがキレてるんだったら、そこも「カメラ回しとけ!」って言って。

田村:キレてましたよー、上田くん。

マッコイ:普通の人は、そこで止めちゃうんですよね。それで「すいません」って言って、控室なんかで話し合って、ちょっと落ち着いたあたりに「じゃあ、そっちの方でいきましょう」みたいになる。でも、僕は全然そういうことをせずに、怒ったら怒ったままでいったんですよ。「え、上田くん、怒ってんの? もしかして!」とか言って。

田村:忘れもしないのが、沖縄の回ですね。上田くんがムエタイの格好をさせられたとき、腕の飾りをむしり取って、地面に叩きつけてました。“あー、本当に怒ってる”と思いましたけど、回し続けましたし、使いましたよね。

マッコイ:うん、使った。そういうのも全部見せちゃおうって。喜怒哀楽が露わになるのがバラエティの魅力だから。やってるうちにわかってくれるだろうっていう期待だけでしたね。ずっとわからなかったら、俺が降りればいいだけの話だし。まぁ、最終的にレベルの高い生徒たちでしたよ、本当に。

――聞けば聞くほど、本当に学園ドラマのようですね。その後、充電期間に入るタイミングで、地上波で『タメ旅』の最終回を迎えましたが、本音を言い合ったり、ファンと一緒にメッセージを贈ったり、なんて愛あふれる番組なんだと思って見ていました。

マッコイ:そこがないと、やっぱり育たないですよね。

田村:ある意味、ぶつかり合った分、信頼関係が生まれたなと思っているんですよ。だから、私も今、彼らのことをすごく信頼していますし。

マッコイ:腕が上がりましたよ、確実に。だから、もう昔の聞き分けのない悪ガキたちって感じではないです。野球で例えるなら、1回全国大会に行ったレギュラーメンバーみたいな気持ちですよね。“お前らなら、大丈夫だよな“って。

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