ACE COLLECTIONの歩みはここから始まる 初ライブ飾ったマイナビBLITZ赤坂ワンマンレポ

ACE COLLECTION、初ワンマンレポ

 2017年12月9日に結成された4人組バンド、ACE COLLECTION。結成日よりYouTubeでカバー動画の配信を開始すると、「【マッシュアップ】超ヒット曲をShape of Youにのせて演奏してみた」で話題に。同動画の再生回数は2019年4月末時点で323万回超を記録。YouTube公式チャンネルの登録者数は15万人を超えたほか、YouTubeが今後の活躍が期待されるアーティストの支援を行うプログラム「YouTube Music Foundry」に日本のアーティストとして唯一選出された。

 これまではSNS上での活動が主だったACE COLLECTIONだが、結成当初より掲げていたひとつの目標があった。それは、1000人規模のライブハウスで初ライブを行い、チケットをソールドアウトさせること。その目標がいよいよ、4月29日、マイナビBLITZ赤坂で達成された。1400人が駆けつけた会場は2階席まで超満員。開演前、ステージを覆う幕の向こうで音出しが始まるだけで歓声が上がっているため、ライブハウスに来ること自体が初めての人も多そうだ。

 メンバーも緊張しているだろうと予想していたが、こちらから見た限りそのような印象はなくーーというか緊張よりもこの瞬間を待ち望む気持ちの方が勝っていたのだろう。観客を前にした4人の表情はむしろ活き活きと輝いていた。キレのあるドラム。頼もしいベース。華やかなギター。それらの先頭に立つボーカル。それぞれの個性を確立させながらもバンドとして一丸となったサウンドを前にすると、今日が彼らの初舞台なのだということを忘れてしまいそうになる。最初の3曲は1stデジタルアルバム『December 9』の収録曲だったため、観客にも十分浸透しているよう。たつや◎(Vo&Gt)がフロアへマイクを向けると、観客が歌詞の一部を歌って返した。

 ここで最初のMC。LIKI(Gt)は、みんなに会えたことが嬉しいのだと伝えたうえで「もう一つ嬉しいことがあって……この3人と一緒にステージに立てたってことっす~!」と喜びを溢れさせ、沖縄出身の奏(Ba)は「でーじなってる」(=大変なことになっている)と方言を交えながらその感動を語る。RIKU(Dr)は今日が第一歩目なのだということを強調しながら「ここからまた続くので、平成最後の思い出作り、一緒にしましょう!」と観客へ呼びかけた。

 この日はアルバム『December 9』の収録曲のほか、未発表曲も多数披露。例えば、LIKIがアコギに持ち替えた「ホットシェルレイ」は温かみのあるミディアムナンバー。対して「Fire」はメタル調の激しい楽曲で、間奏でRIKUが怒涛のプレイを繰り広げ、歓声を集めていた。「俺らみたいな、ひとつの夢をまっすぐ追いかけるガキンチョの歌」と紹介された「BLUE」は爽快感のあるアッパーチューンである。開演前のBGMでL'Arc〜en〜Ciel→LiSA→PRETTYMUCHという流れがあったのも象徴的だったが、公式ホームぺージのプロフィール欄を見れば分かるように、メンバー4人の音楽的なルーツは全員違っている。この“雑食性”も彼らのひとつの特色。違ったもの同士が掛け合わさることにより、バンドとして幅広いアプローチを行うことが可能になるのだ。

 新曲群のほか、ベースリフとギターソロが情熱的な「BLACK HOLE」、観客と一体になって歌った「Butterfly」、ライブ映像撮影をその場で行うサプライズもあった「ROCK STAR」といった既存曲を経てライブもいよいよ終盤へ。12曲目には「【マッシュアップ】超ヒット曲をShape of Youにのせて演奏してみた」が生演奏で再現された。2019年のライブハウス、それも観客のほとんどは10代の若者という状況下で「上を向いて歩こう」(坂本九)が大合唱される光景はなかなか特殊。しかしその光景は、あらゆる時代・国の音楽へ手軽にアクセスできる現代のフラットさを象徴しているようでもあった。

 マッシュアップでは、たつや◎がこっそりACE COLLECTIONの楽曲「LIFEメーカー」の一節を忍ばせ、RIKUが「あれ? ヒット曲?」とツッコむも、観客が「(ヒット曲になるのは)これからー!」と返すという微笑ましい場面もあった。ドラムセット周辺に4人揃って腰かけると、たつや◎は、バンドをやることを諦めてかけていた時に声をかけてくれたのがRIKUだったこと、この1年半でぶつかり合うようなこともあったが人生で今が一番幸せだと感じていること、自分の力だけではここまで来られなかったこと、などを明かし始める。たつや◎はまるで友達に喋るみたいなテンションで、メンバーや観客へ語りかけていた。

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