SCREEN mode、アコースティック編成でも様々な表情で魅せる 『Passion Red』公演レポート

SCREEN mode、アコースティクライブレポ

 面白い映画というのは、一瞬のうちに過ぎ去っていく。引き込まれるストーリー、魅力的な演者、思わずくぎ付けになる映像の流れ。それは何度見ても新たな発見を与え、私たちの感性を刺激する。4月28日、目黒 BLUES ALLEY JAPANにて開催された『SCREEN mode Acoustic Live 2019 Spring』も、そんな時間だった。普段はノリのいいロックンロールで盛り上げるふたりだが、この日は丁寧に聴かせるアコースティック編成。昼公演をファンと盛り上がる“Passion Red”、夜公演をうっとり聞き惚れさせる”Sentimental Blue“と銘打ち、違う魅力を咲かせたのだ。

 今回は、しっとりとした雰囲気のなかにも熱い情熱が燃えた“Passion Red”の様子をお届けする。


 照明が落ちると、ホーン隊を引き連れて勇-YOU-と雅友が登場。“Passion Red”というテーマになぞらえた赤と黒のコーディネートが、彼らのクールさをさらに格上げする。勇-YOU-の「今日は楽しみましょう」という掛け声を合図にステージはスタート。オープニングを飾ったのは、爽やかで甘い声が広がる「START LINE」だ。穏やかなアコースティック編成でありつつも、SCREEN modeのロック魂は健在。自然と湧いたクラップはあっという間に広がり会場中を包みこむ。勢いやまぬまま、トランペットとサックスの端切れが気持ちのいい「DISTANT GOAL」へ。管楽器に負けない勇-YOU-のパワフルな歌声が観客を魅了し、特大のコール&レスポンスが巻き起こった。


 ファンと一緒に音楽を紡ぐ「Happiness!」、ボサノバ調でムーディーな雰囲気の「トレモロ」と特別なアコースティックライブが展開されていく。「初めて歌うのは今回のアコースティックライブにしたくて頑張って作りました」と告げ、始まったのは新曲の「約束の空」だ。勇-YOU-が父に向けて作ったというその曲は、穏やかなピアノの伴奏がきらめくバラード。“見上げた空は青いよ”と天井に向けて送る視線は穏やかで、その先に父の姿を思い描いているよう。空気をたくさん含んだ包容力のある声で豊かに歌い上げた。

 決意が力強くにじむ「アンビバレンス」を挟み、再び新曲に繋がれる。披露されたのは、レーベルメイトのTRUE(唐沢美帆)が作詞を手掛けた「友情ごっこ」だ。色っぽいリリックとファンクロック調の楽曲は、勇-YOU-の歌声を一段と艶っぽく輝かせた。サックスとトランペットの見せ場もばっちり決まり、後半戦に拍車をかける。

 その後も「RED AND BLACK」「ROUGH DIAMONDS」と、オリジナルアレンジでパフォーマンスしていく。本編のラストを飾ったのは、「WHY NOT!」だ。勇-YOU-の誘導により、観客全員がスタンドアップ。一丸となったコール&レスポンスが会場に響き渡った。その光景を眺めるメンバーもとても楽しそうで、口元が自然とゆるむ。誰ひとり置いていかない、一体感ある空間を作りだし本編を締めくくった。


 その後も拍手がなり続き、ほどなくしてアンコールへ。奏でられたのはTVアニメ『LOVE STAGE!!』のオープニングテーマである「LφVEST」だ。みんなで盛り上がれるポップソングはバンドサウンドに引けをとらぬ音の厚みで観客を圧倒する。そして、締めの「アメイジング ザ ワールド」では大合唱。レストランということで会場全体となってジャンプすることは叶わなかったが、上下に揺れる肩はステージにいる勇-YOU-と一緒に心が飛び跳ねていることをよく表していた。「とっても楽しかったです。また会いましょう!」と締めくくり、メンバーはステージを後にした。

 楽曲によってホットにもクールにもなり、様々な表情を魅せるSCREEN mode。それはバンド編成のときだけでなく、アコースティックにおいても健在だった。彼らは今年の夏にミニアルバムの発売とワンマンライブも決定している。止まることなく進んでいく二人から、今後も目が離せない。

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(取材・文=坂井彩花)

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