乃木坂46、グループ転換期の中で胎動する新しい表現の型 横アリ公演からアンダーの未来を占う

乃木坂46アンダーの未来を占う

 乃木坂46が5月24日、『23rdシングル『Sing Out!』発売記念アンダーライブ』を開催した。これはニューシングル『Sing Out!』リリースに紐付いて横浜アリーナで3日連続ライブを行なう企画の、第1日目を担うものである。同時に、伊藤かりんと斉藤優里が出演する最後のアンダーライブとしても位置づけられていた。

 たびたびアンダーライブを彩ってきた二人が有終の美を飾る場としての意義は決して小さくない。それでもライブ全体としては、彼女たちの卒業というイベント性のみならず、新たなフェーズを迎えているアンダーメンバーの、現在の充実が際立つものだった。刻々と変化し、人員が循環しながらも常にハイレベルなライブパフォーマンスを展開してきたアンダーメンバーが、その強みを継承し続ける姿をみせること。その姿勢もまた、ここまでの歴史を支えてきた二人へのはなむけとして大きな意味をもつ。

 寺田蘭世をセンターに据えた23rdシングルのアンダー楽曲「滑走路」がライブ1曲目を飾り、「その女(ひと)」「ブランコ」と寺田のセンター曲をさかのぼるセットリストで幕を開ける。かつて、その「ブランコ」を携えて日本武道館で開催された『Merry Xmas Show 2016』のアンダーライブでセンターポジションを担ってから2年半、表現のスケールが何段階も上がったセンター寺田蘭世の姿がそこにあった。

 さらに樋口日奈のセンター曲「シークレットグラフィティー」、中田花奈センターの「春のメロディー」と1期生の実力者が中心に立つ楽曲が続き、現在のアンダーの布陣を支える層の厚さをみせる。

 層の厚さ、とは人数的なボリュームをさすものではない。このライブ序盤パートの時点では伊藤かりんと斉藤優里がまだ参加しておらず、ステージ上に立つのは10人。人数だけでいうならば、2017年に東京体育館を舞台にして、あえて「史上最弱」というフレーズを背負ってみせた17thシングル時のアンダーライブよりも少ない。けれども、1期、2期のキャリアに裏付けられたパフォーマンスに加え、中村麗乃、向井葉月、吉田綾乃クリスティーといった3期生メンバーが個としての力を蓄えつつある現在、横浜アリーナという会場は、このメンバーたちにとって広すぎる場所ではなかった。ライブ全編を通じてうかがえたのはそのような、1~3期それぞれが重なり合うことで生まれる、23rdシングルのアンダーメンバーの好バランスだった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる