DJキャレドの音楽の根底にあるものーーこれまでの人生と家族をテーマにした“原点回帰”の最新作

DJキャレド『Father Of Asahd』

 「音楽界はますます“DJキャレド方式”になりつつある」 (The Economist、2018年)。2010年代、ポピュラーミュージックを征した“成功の鍵”はコラボレーションだ。2019年6月1日付のBillboard HOT100によると、リル・ナズ・エックスにエド・シーラン、ポスト・マローン、テイラー・スウィフトにサム・スミス……なんとTOP10ソングの半分が客演を迎えている。コラボ文化が盛んなHIPHOP人気やストリーミング・サービス普及が要因となり、今となっては、簡素スタイルのエド・シーランすらラッパーを迎えたコラボレーションアルバムをリリースする時代となった。そして、この新たなヒットの王道となった“スターたちの共演”を代表する21世紀のコラボ王こそ、“We The Best Music”のかけ声でお馴染み、DJキャレドである。

 2000年代より豪華客演アルバムをリリースしてきたキャレドの最新作『Father Of Asahd』(6月7日発売)は音楽界のオールスターゲームであり、サマーアンセムのバリューパックだ。ビヨンセやジャスティン・ビーバーに加え、トラヴィス・スコット&ポスト・マローンによる涼しげな憂鬱ソング「Celebrate」、カーディ・Bと21サヴェージが栄華を誇る「Wish Wish」などが収録されている。

 DJキャレドの楽曲は、若者のみならず、親世代まで楽しめるファミリーフレンドリーな側面を持つ。往年の名曲リファレンスが存分に散りばめられているのだ。たとえばSZAとの「Just Us」は2000年を代表するアウトキャストの名曲「Mr.Jackson」をサンプリングしており、MVは何故かこれまた懐かしの映画『300』風になっている。ガンナとリル・ウェインを迎えた「Freak N You」の元ネタは、昨年TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』でも採用されたジョディシーによる90年代R&Bヒット「Freek’n You」。音楽ファンにとっては、こうした名曲探しも楽しみのひとつだろう。

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