BTS、ドキュメンタリー映画第二弾で見せる“ありのまま”の姿 ファン以外も入り込める内容に

BTS、ドキュメンタリー映画第二弾レビュー

 2019年8月7日から18日までの期間限定でBTSのドキュメンタリー映画第二弾『BRING THE SOUL: THE MOVIE』が公開中だ。昨年11月に公開された『Burn the Stage : the Movie』は2017年に行われた『2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR』のドキュメンタリーだったが、今回は2018年に開催された『BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF'』に密着したドキュメンタリー。本コンサートツアーは8月25・26日のソウルオリンピックスタジアム公演から始まり、ハミルトンでのカナダ公演を含むアメリカツアー(ロサンゼルス・オークランド・フォートワース・ニューアーク・シカゴ・ニューヨーク)、続くイギリス・ロンドン、オランダ・アムステルダム、ドイツ・ベルリン、フランス・パリでヨーロッパツアーが行われた。実際はこの後に日本でのドームツアー9公演を含む台湾・香港・シンガポール・タイでのアジアツアーが続けて行われたが、このドキュメンタリーで取り上げられているのはアメリカ・ヨーロッパツアーのみである。

BTS (방탄소년단) 'BRING THE SOUL: DOCU-SERIES’ Official Trailer

 前作の『Burn The Stage』はもともとYouTubeプレミアムで放送されたドキュメンタリードラマシリーズだったということもあり、ナレーションモノローグなどでよりドラマチックな演出が施されており、コンサートドキュメンタリーというよりも、コンサートを通して「BTSとはどのようなグループなのか」、あるいは個々のメンバーの内面に迫るような構成になっていた。一方、今回の『BRING THE SOUL』はモノローグやナレーション等の演出は一切なく、ひたすらコンサートの裏側や合間のメンバーたちの日常を映した、より純粋な「コンサートドキュメンタリー」という印象だ。

 映画のファーストシーンはヨーロッパツアーの最終公演だったパリでのコンサート後の打ち上げ会場から。初のスタジアム野外公演でありながら、天候の事情でリハーサルがほとんどできなかったというソウル公演を回想するような場面で始まる。映画はそこからアメリカ・ヨーロッパと飛行機での移動からリハーサル、ホテルでの姿や仕事の合間に気分転換に外出する姿などがありのまま撮影されている。また、アメリカ公演の間にレコーディングアカデミーでトークライブを行った様子も収録されていた。特にモノローグや特別な演出が加えられていないこともあるかもしれないが、前回のツアードキュメンタリーと比べてメンバー達の姿はかなりリラックスしているように感じる。今でもライブ前は緊張するとJINが語る場面はあるが、『BBMA(Billboard Music Awards)』に初めて呼ばれた時の力みやナーバスに見えた緊張感とはまた少し違って、「長期間のコンサートツアーをいかに均等に、怪我や体調不良なく乗り切るか」ということに気を配るプロらしい姿も見られた。大規模な会場での欧米圏を含めた「ワールドツアー」というものがある意味彼らの生活サイクルに適合してきたのだろうか。

 しかし同時に韓国からは10時間以上ものフライトで、さらに国内でも繰り返し細かい飛行機での移動が必要な欧米圏でのツアーで避けることが難しい体力的・メンタル的な問題も描かれていた。今やプライベートジェットでの移動は当たり前であり、ツアーの合間にも体力づくりのためジムに通っているようだが、やはり「フライトが一番きつい」と漏らす姿も見られた。時差や気圧差が肉体に及ぼす影響や感染リスクの高まりは一般的にも知られているが、実際ツアーの中で誰かしらが風邪をひいていたり、声が出なくなるなどトラブルもあったようだ。当時ツアー中にSNS上のファンの間でメンバーが怪我でパフォーマンス出来ない公演があったり、「○○が声が出なかったようだ」というようなレポートも見かけていたため、この映画を見ることである種の答え合わせもできるかもしれない。

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