堂本剛、“真ん中”を再確認して歩みを進める ソロ活動に活かされたジャニー喜多川からの教え

 堂本剛 ENDRECHERIのニューアルバム『NARALIEN』が、本日8月14日にリリースされた。ラジオ『堂本剛 とFashion & Music Book』(bayfm)8月10日放送回では、アルバム制作やライブの背景にあった想い、その礎となったジャニー喜多川氏からの教えが語られた。

 以前から、本アルバムに収録された新曲を積極的にオンエアしてきた堂本剛。長年苦しまされてきたパニック症に名前をつけ、“いつか消えてったらいいな“とふざけて歌った「Pani9 disorder man」。ホットケーキが好きな気持ちを、そのまま楽曲にしてしまった「4 10cake」。お花見を筆頭に人々が元気に明るく過ごす一方で、同時に湧き出る儚さや切なさを歌った「水面音」。〈Heki~〉と〈Heki Heki Heki Heki Heki〉がただ言いたかっただけだという「Heki」。そして、宇宙人に自己紹介をするときに使うであろう、“奈良“と”エイリアン“を混ぜた「NARALIEN」……。思うままに、感じるままに、肩の力を抜いて、心地よいリズムに乗せて歌う堂本剛のFUNKが、より軽やかに、より柔らかに進化していることを感じずにはいられないラインナップに思わずニヤリとしてしまったファンも少なくないのでは。

 堂本剛自身も、その変化について「日本人、奈良人っていうアイデンティティみたいなものはなくさずに、FUNKをやりたいっていうテーマがずっと昔からあって。でも、それを最速で伝えるっていうのは、なかなか難しい環境に自分はいるな〜っていうところから、少しずつ、そういう試みをいろんな楽曲を通してやってきたという感じなんですが。前回にも増して今回は“最速で伝えるのは難しい環境なのではないだろうか“みたいなことすらも、風に飛ばし、ただただ自分がそのアルバム制作をしている期間の中で、出会った出来事や、感情、言葉、想いみたいなものを、ただアウトプットしたっていうような感覚です」と語った。

 例えば、〈ホットケーキ〉と〈バター〉しかほぼ言っていない「4 10 cake」も、10年前なら「もうちょっとちゃんと設計図があるやつのほうがいいんじゃないだろうか」と、考えて作っていなかっただろうとも。良かれと思って考え込み、いつの間にか自分自身に枷をかけてしまうことは誰にでも起こりうることだ。それが、何かを創るという立場になれば、そして多面的に物事を見られる人であれば、なおのことだろう。自分だけではなく、それを受け取ってくれる人たち、そして一緒に制作していく人たちなど、多くの人に対する“良かれ“を考慮しすぎた結果、何が自分のやりたいことだったのかが見えにくくなっていくこともある。

 そんな堂本剛の心を解放したのが、ジャニー喜多川氏の言葉だった。それは、2006年にENDLICHERI☆ENDLICHERIとして横浜・みなとみらいで「The ENDLI. WATER TANK」と名付けたライブハウスを建設して、ロング公演を行なっていたときのこと。回を重ねるごとに、いろんな人の意見が入り「ちょっと僕の意見が中心ではないステージの期間っていうのがあったんですよ」と振り返る。

 そのステージを見たジャニー喜多川氏の口から出たのは「これは何、Youが考えてんの?」という言葉だった。堂本剛が思うENDLICHERIの世界ではないという話を正直にしたところ、「なんでなの? 誰がこれを言ってるの? キミはキミの考えてることを、ただステージで表現すればいいだけなんだよ」と説かれたという。そして「キミはとても最高のファンを持ってるということを、自信持つべきだ。ファンの人たちはキミは脳みその中で、何を考えてるのか、どうしたいのかみたいなことを、追い求めることも楽しめるっていうすごいレベルの高いファンなんだよ。だから人から言われたからこう、ああ言われたからああ、みたいなことではなくて、キミがやりたい世界っていうものをステージでぶつけて表現するっていうことが正解なんだよ」とも。

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