Kis-My-Ft2、KAT-TUN、ENDRECHERI、A.B.C-Z……濃密な作品揃った7~8月リリース

 いよいよ秋の足音が聞こえる9月。ライブツアーや新譜のリリースも多い季節だが、その前にこの夏のジャニーズグループによるリリース作品を振り返っておこう。

 この夏にリリースされた作品はKis-My-Ft2、KAT-TUN、A.B.C-Z、ENDRECHERI、Hey! Say! JUMP、King & Princeと、なんと6作にものぼった。そのうち半分はアルバムという密度の高さだ。

 秋冬に向けての期待も高まる7~8月のリリース作を、リリース順に振り返ってみよう。

Kis-My-Ft2『HANDS UP』

 今年でデビュー8年目を迎えたKis-My-Ft2の最新楽曲「HANDS UP」は、リリース前からラジオやCMなどで話題を集めていた“攻め”のダンスナンバー。サビのリフレインとそれに合わせた”ブンブンダンス”が印象的な、ライブパフォーマンスを意識したアンセムだ。

Kis-My-Ft2 / HANDS UP-short edition- (シングル「HANDS UP」<初回盤A>収録曲)

 EDMやユーロビートなどを織り交ぜた洋楽的なオケのアプローチと低いトーンでのボーカルスタイルがキスマイ楽曲の中でも挑戦的な印象を強めており、高いパフォーマンス力を誇る彼らに対する楽曲制作陣の期待の高さが透けて見えるハイクオリティなナンバーとなっている。

 カップリングはdTVにて放送中の冠番組『キスマイどきどきーん!』のエンディングとして注目を集めていた「OPaPiPo」をはじめ、可愛らしいポップソングから美しいバラードまで個性豊かな表情が垣間見られる。

KAT-TUN『IGNITE』

 ロック、ヒップホップなどさまざまな要素を貪欲に吸収し続けるKAT-TUNの最新アルバムは、前作『CAST』以来約1年ぶり。「IGNITE」=”発火する・燃え上がらせる“というタイトルの通り、“火”をテーマの軸に据えながらも個性豊かな楽曲が取り揃えられた濃密なアルバムとなっている。

 ラブバラードから疾走感溢れるロックな楽曲まで、近年めきめきと大人のアイドルとしてのきらめきを身につけつつあるKAT-TUNだが、ジャニーズの異端たる泥臭さ・男くささも未だ健在。また、亀梨和也・上田竜也・中丸雄一のメンバーそれぞれの個性と歌声の美しさが存分に引き出されたソロ曲も必聴だ。

 シリアスな顔だけでなく、中丸が作詞を手がけた「We are KAT-TUN」をはじめ、ライブで盛り上がるおちゃめなアンセムにも注目。3人のロック魂とアイドル魂が燃え上がる1枚だ。

A.B.C-Z『Going with Zephyr』

 A.B.C-Zの最新アルバムは、その楽曲性の幅広さとメンバーの歌唱力の高さが最大の魅力だ。サイバーなEDMからウエスタン調の楽曲まで、さまざまな世界観を歌いこなす5人の歌声には大人の落ち着きと躍動感が共存している。長年舞台でも活躍してきたA.B.C-Zならではの歌唱力と表現力が、まるで上質なミュージカルを見ているような広がりを1曲1曲に宿している。

A.B.C-Z「Going with Zephyr」全曲ダイジェスト①

 中でもミディアムナンバー「Chance to change」の清々しいカタルシスは、どこか神々しく聴こえるほどだ。

A.B.C-Z「Going with Zephyr」全曲試聴ダイジェスト②

 アルバムタイトルの「Zephyr」はギリシア神話に登場する西風の神の名だという。ジャニーズシーンに常に王道かつ新しい風を吹き込み続ける、A.B.C-Zのショーマンシップがこれでもかと凝縮された1枚だ。

ENDRECHERI『NARALIEN』

 ENDRECHERIの最新作『NARALIEN』。その音楽への向き合い方は常にミュージシャンとして尖っていて、尚且つ自身の歌声の魅力を充分すぎるほどに知り尽くし、楽器のように使いこなしている印象がある。

 全体的にBPMが遅く、ポップソングとしての聴きやすさやキャッチーさを放棄しているといっても良いほどに前衛的だ。しかしその音や歌声はどこまでも心地よく、脳細胞を侵略されるのではと思うほどに美しい。中でも「音楽を終わらせよう(HEIAN ver.)」の心地よさとチャレンジングな歌詞は、どこか狂気すら感じるほどだ。

 奈良で生まれ育った“NARALIEN” ENDLICHERI=堂本剛は、音楽という武器を使ってリスナーを一体どこへ連れて行こうというのか。それともその唯一無二の世界観で侵略しようというのか。

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