加藤ミリヤ、デビュー日に届けた感謝と愛情 15周年記念『GEMINI』ツアー東京公演

加藤ミリヤ『GEMINI』ツアー初日レポ

 今年6月に第1子の出産を公表した加藤ミリヤが、9月8日、東京・マイナビBLITZ赤坂で「15th Anniversary tour 2019『GEMINI』」の初日公演を開催した。この日は出産後初となるライブで、さらに9月8日はデビュー記念日ということもあり、会場には二重三重に祝福ムードがあふれていた。

 オープニングはステージ前に張られた紗幕に、撮り下ろしの本人映像と楽曲を使った映像を投影してスタート。胎内の羊水を思い起こさせるような映像はとても神秘的で、映像の最後には赤ん坊を抱くミリヤの貴重な姿も映し出された。

 その紗幕の中央に光が集まると、白いマントをまとい、目深にフードをかぶったミリヤがステージ奥に神々しく登場。ピアノとストリングスだけのトラックにアレンジされた「With U」を歌い出し、厳かな雰囲気でライブが始まった。歌詞の1番を歌い終えると、短いブレイクを挟んで紗幕がストンと落ち、ミリヤが「TOKYO, Are You Ready!」とシャウト。「With U」の力強く刻まれる4つ打ちのビートが鳴り出し、オーディエンスを一気にヒートアップさせていった。

 マーチングドラムが印象的な「UNIQUE」を歌い終えたところで、この日、15周年を迎えた彼女は「15年前の9月8日がなかったら、このツアーがなかったくらいすごく特別なツアーになりました」と報告。「今日はいちばんにみんなにありがとうって伝えたくて、ここに来ました」と、この日を迎えられた喜びを笑顔で伝えた。そして、ツアータイトルのGEMINIには双子座という意味があることに触れ、「自分の中でいろいろな変化が起きてたくさんのインスパイアがあって、できたツアーになっています。ひとつひとつにたくさんの意味が込められていて、私が伝えたいことがいっぱい詰まっているのでしっかり見て欲しいです」と、このツアーに込めた思いをメッセージした。

 今回のセットリストは、彼女の初めてのベストアルバム『M BEST』以降に発表された楽曲を中心にセレクト。なおかつ、アルバムに収録されていた楽曲やあまりライブで披露されないナンバーを、彼女のライブを日頃から支えるDJ SHUYAがライブ映えするようアレンジしたものが多く繰り出された。

 普段から曲を通して思いを伝えるミリヤだが、〈こんな時に見たいのは/君のその笑顔〉誰よりも君支えたい/これはわたしのほんとの気持ち〉などと歌われる1曲目「With U」では、長く支えてくれたファンに、まずは感謝の念と「これからも共に歩んでいこうね」という気持ちをメッセージしたかったのではないだろうか。そして「LIBERTY」で始まり「Young Lady」で閉じた2番目のブロックでは、彼女が15年間で追い求めたもの、めざした姿、何事にもくじけない芯の強さをアピール。しかし、そんな彼女でも悩み、藻掻き、悲しむことはあるし、誤解に苦しむこともある。そんな自分の姿をありのままに伝えるのが「PRIDE」から「眠れぬ夜のせいで」までの3ブロック目だったのではないか。オモテとウラ、光と影、虚像と実像。そんな二面性があることを知って欲しい。そんなメッセージを今回のツアータイトル「GEMINI」に込めているように思う。

 アンコールでは、1階席に設けられたミニステージに登場し、会場を驚きと歓喜で沸かせたミリヤ。アンコールは、このツアーのために書き下ろしたというチルトラップ系の新曲「MILIYAAHS」でスタートし、サビでは「ミリヤー!」コールの合唱で盛り上げた。そして、「今の世の中は誤解が多し、私も誤解されてるなと思うことがこの15年間すごく多かった」というMCから、最新シングル曲「ほんとの僕を知って」をライブで初披露。この日、ライブ中盤のMCで「いろんな生き方があっていい。でも絶対に後悔しないで」「今の自分が私はいちばん好き。そんな自分をもっともっと愛したい」「みんなオリジナル。誰も私にはなれないし、私も誰にもなれない。自分の人生や生きづらさも含めて、ちゃんと自分のことを愛して、人のことも愛して、みんなのことも愛していきたい」と語っていたが、その思いがこの新曲には詰まっている。

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