LEO IMAI×人間椅子が繰り広げた異色の2マン公演 両者の情熱ぶつけ合う刺激的なライブを見た

LEO IMAI×人間椅子、異色のツーマンライブ

 LEO今井が自身のバンド・LEO IMAIを率いて、自主企画ツーマンツアー『大都会ツアー』を全国5都市で開催中。初のカバーアルバム『6 Japanese Covers』を携えた同ツアーには、ゲストとして人間椅子、eastern youth、ZAZEN BOYS、前野健太、呂布カルマが参加している。2019年9月24日の渋谷クラブクアトロ公演では、対バンに人間椅子を迎え、まさに異種格闘技戦と呼ぶべき貴重なステージが展開された。

 先に登場したのは、人間椅子。オープニングは2017年のアルバム『異次元からの咆哮』収録曲「超自然現象」だ。変拍子を交えたリズムアレンジ、キャッチーにして豪快なギターリフ、〈来る 来る ミラクルパワー〉というフレーズがひとつになったこの曲は、“ハードロック×怪奇現象”を軸にした人間椅子の神髄とも言えるロックナンバー。爆発的な音量、異形のメンバーのパフォーマンスを含め、このバンドにしか生み出せないムードが濃密に溢れ出す。

 さらに30周年のタイミングで発表されたニューアルバム『新青年』から「鏡地獄」、1990年にリリースされたアルバム『人間失格』の収録曲「賽の河原」を続けて披露。70年代〜80年代のハードロック、ヘビィメタル、プログレを根っこに持つバンドサウンド、そして、大正から昭和の日本の叙情性、江戸川乱歩に象徴される文学的世界を融合させた人間椅子のスタイルは、30年経ってもまったく変わっていない。というか、ブレようがない。

 この一貫した美意識や世界観がこのバンドの強みなのだーーと改めて実感していたら、和嶋慎治(Gt/Vo)が「30年やってるんだけど、やってることが変わらない(笑)」と楽しそうに話し始める。ここ数年の再ブレイク・再評価に伴い、若いオーディエンスから“かわいい”と言われることもある和嶋だが、ステージ上の彼(53歳)は確かにチャーミングだ。

 「どだればち」では、LEO今井がステージに登場。『6 Japanese Covers』にも収録されたこの曲を本家本元の人間椅子とセッションできるとあって(このミニアルバム制作のきっかけは、昨年9月にLEO今井が初めて人間椅子のライブを観て、感銘を受けたことがきっかけだった)、LEO今井のテンションも最高潮。鋭さと力強さを兼ね備えたボーカルによって、津軽弁を交えた歌詞、津軽民謡を想起させる〈あらどした〉という合いの手を入れ、ステージを動き回りながらメンバーと絡む。その個性的なステージングは人間椅子のメンバーにも影響を与え、和嶋のギターソロも凄まじいテンションを生み出した。「LEOくんに煽られて、ギターソロがいつもより長かった(笑)」(鈴木研一、Ba/Vo)という化学反応(?)も起きた、超レアなコラボだったと思う。

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 さらに超ヘビィなリフと弱者のルサンチマンを描いた歌詞がひとつになった「無情のスキャット」、ナカジマノブ(Dr/Vo)がボーカルを取る「地獄小僧」、官能と恐怖が押し寄せる「雪女」など、唯一無二としか言いようがないロックワールドが炸裂。高速のアッパーチューン「針の山」で超絶テクのギターソロ、骨太かつメロディアスなベースライン、ツーバスによる強靭なビートが一体となったバンドサウンドを爆発させ、オーディエンスの熱狂を引き出した。

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