尾崎由香の歌声の魅力は可愛いだけではない 最新作と初ワンマンで表現したシンガーとしての多彩さ

尾崎由香の歌声の魅力は可愛いだけではない

 声優・歌手の尾崎由香が、9月29日に東京・SPACE ODDでワンマンライブ『Yuka Ozaki 1st Solo Live 「MIXIED」』を開催した。ライブのタイトルにもなった『MIXED』は、8月にリリースした1stソロアルバムのタイトルでもある。同作は、NONA REEVESの西寺郷太、クラムボンのミト、ボカロPの40mP、Jazztronikの野崎良太など多彩なプロデューサーを迎えて制作された1枚。このライブもまた、まさしく『MIXED』というタイトルの通り、尾崎の多彩な魅力がミックスされた一夜になった。

尾崎由香

 1曲目は、夏のキラキラとした日射しやスプラッシュ感が満載のハッピー感溢れるソロデビュー曲「LET'S GO JUMP☆」。尾崎はキュートな振り付けを披露しながら、「みんな声を出して!」とはやしたて、サビを観客と一緒に歌う。MCで「新感覚の曲です。代官山っぽくない?」と紹介した「恋のマメチシキ」は、ユーモアたっぷりの歌詞とラップ調のボーカルが特徴的だ。続いて「ピュアで小悪魔」では、ゆったりとしたテンポ感のギターサウンドに合わせて、会場に観客の手拍子が広がった。

 MCでは、それぞれの曲について制作時のエピソードや気持ちも語り、端々から楽曲に対しての真剣さが伝わった。例えば渋谷系サウンドの「僕のタイムマシン」は、自分らしい歌声や歌い方について考えるきっかけになった曲とのこと。MCでは思い出深いレコーディングだったと振り返り、ただ可愛いだけではない浮遊感のある歌声を聴かせ、曲中の〈タイムマシン〉と叫ぶかけ声を会場全体で楽しんだ。バラードの「オトシモノ」は、SNSで行った好きな曲の人気投票でダントツの1位だったとのこと。手を胸に当てながら歌う、少し憂いを帯びた飾らない歌声からは、思いを少しでも届けたいという気持ちがヒシヒシと伝わってきた。

 尾崎が大好きなアイスクリームをテーマにしたコーナーも、ライブを盛り上げた。アイスクリームと恋を重ねた歌詞の「ice cream」は、初めて作詞にチャレンジした曲。「日記も書かないから、最初はすごく悩みました。でも私らしいものを届けたいと思って、アイスクリームをテーマにしたら、1週間かからなかったです」と、作詞エピソードも笑顔で明かす。少しクールに歌ったボーカルが、懐かしさのあるテクノサウンドとも絶妙にマッチしていた。また同曲に続けて始まった「アイスクリームタイム」では、ステージ上でアイスクリームを食べながらトークを展開し、MV撮影でドローンが墜落した話など、さまざまな裏話で観客を楽しませた。

 そして本編ラストに歌った「Dream On ~遠い日のあの空~」では、「寂しいけど、歌詞に気持ちを寄せて聴いてくれたらうれしい」と、気持ちを語った彼女。最初はアコースティックギターに乗せてしっとりと歌い、2番からはバンドサウンドに乗せて歌い、会場にはミラーボールの光が広がる。温かみがありながらもまっすぐで芯のある歌声から、尾崎のファンに対する感謝の気持ちが伝わってきた。

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