日向坂46 小坂菜緒と佐々木美玲、存在感を放つ表現力ーー“二人のエース”が全うする役割

 9月26日にさいたまスーパーアリーナで行われた『日向坂46 3rdシングル発売記念ワンマンライブ』(以下、SSA公演)から早くも1カ月が過ぎようとしている。改めて振り返ると、小坂菜緒と佐々木美玲がそれぞれのセンター楽曲で存在感を放ち、素晴らしいパフォーマンスを見せていた。彼女たちの存在は、3rdシングル曲「こんなに好きになっちゃっていいの?」のパフォーマンスにも大きく影響を与えているといえるだろう。そこで本稿では、それぞれのセンターの魅力について考察してみたい。

日向坂46『こんなに好きになっちゃっていいの?』(通常盤)

 SSA公演は、日向坂とけやき坂46時代の代表曲がバランス良く並んだセットリストだった。まず驚かされたのが佐々木美玲のパフォーマンスだ。けやき坂時代の多くの楽曲でセンターを務めていた佐々木美玲。特に「期待していない自分」での佇まいには、圧倒的な主人公感を感じた。たとえば、中央のステージでみんなが踊っている間に美玲はステージの真ん中で1人佇むという演出。ステージ映えするシルエットの美しさは、彼女の周りだけ静寂感が漂うような神々しさすら感じさせる。そして1人全速力で走り出し日向坂メンバーを引き連れる姿は、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」、もしくはジャンヌ・ダルクかのようだ。欅坂46の平手友梨奈とはまた違った憑依型ともいえるだろう。単なる新曲お披露目会で終わらないこうしたパフォーマンスは、観客をエモーショナルで深みのある世界へ誘った。

 そんな佐々木美玲が初めてグループのセンターに立ったのは、欅坂に代わり急遽決まった『けやき坂46日本武道館3Days公演』で披露された「イマニミテイロ」。その後、けやき坂46初の単独アルバム『走り出す瞬間』のリード曲「期待していない自分」など数多くの楽曲でセンターを務め、絶対的なエースに。結成当初は“長濱ねるの仲間たち”だったけやき坂メンバーが、一つのグループとして欅坂から独り立ちしていく。その一番大事なタイミングでの“けやき坂の象徴”として抜擢されたのが佐々木美玲だったのだ。

 日向坂46改名以降は一歩引いたような印象を受けるものの、決してエースという刀が錆びたわけではない。「センターを経験したからか、二期生が入ったからか分からないんですけど、今まであまり周りを意識できてなかったんですけど、ちょっとは意識できるようなったんじゃないかなと、大きく見れるようになりました。グループのことを考えたりとか、そこは変わったなって思いました」(日向坂46 『けやき坂46ストーリー〜ひなたのほうへ〜「佐々木美玲」』)と語っているように、彼女はグループにとって何がベストなのかを常に考えている。その結果、彼女の表現力はけやき時代に比べ格段に上がったように思う。SSA公演で、彼女のパフォーマンス能力に驚いた人も多かったはずだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる