Age Factoryの未来を確信した夜ーー『HOPE』ツアーでオーディエンスと見出した“希望”

Age Factory『HOPE』ツアーファイナルレポ

 Age Factoryが、10月19日恵比寿LIQUIDROOMにて『ONE MAN TOUR 2019『HOPE』』のファイナル公演を開催した。今回、キャリア初となるワンマンライブツアーの模様をレポートする。

 まず、Age Factoryだけを見に来た約1000人の観客が集った中で、異様なまでの高揚感と期待感がフロアに充満していたことを記したい。Age Factoryが東京でワンマンライブを行うのは、約1年ぶりのこと。対バンライブでは、相手バンドを食って掛かるような凄みや、鋭さを感じるが、今回のような彼らの味方しかいないワンマンライブで、どんな音を鳴らすのか非常に楽しみであった。

 「集まってくれてありがとう、今日この恵比寿リキッドルーム、俺らはなにか成し遂げることができる気がするよ、奈良 Age Factory よろしく」と清水エイスケ(Vo/Gt)が告げ、1曲目からロックアンセム「RIVER」を投入。割れんばかりの歓声が湧き上がった。続けて「全員丸めて来い!」と、フロアの温度を上げ「CLEAN UP」、「WORLD IS MINE」、「NOHARA」を披露し、堰を切ったかのように観客も剥き出しの本能のような昂りを露わにしていく。増子央人 (Dr)の32ビートをバックに清水が「2020年、誰も間違えるな。俺たちがいるよ。ああ?」と啖呵を切ったのち、西口直人(Ba)のヘビーなスラップから「Puke」を鳴らし怒涛の5曲を披露した。熱狂から一転、落ち着いた空気の中で「Yellow」、「million」、「白昼夢」をプレイ。青い炎のような熱さを感じ、轟音に何かを問いただされるような感覚があった。

清水エイスケ

  MCでは、清水が改めて感謝を述べ「ツアー中の問題点、MCまじでわからん問題(滑舌が悪くてMCで何を言っているか分からない)」と笑いを生む場面もあり、ワンマンツアーと今夏リリースしたシングル3作品について振り返った。「nothing anymore」について清水は、「メンバー全員奈良県に住んでるんですけど、歩く場所全部思い出があって、俺たちの匂いがして」と曲にリンクする郷愁を語り、「自分の今までのことと、これからのことの狭間にいて、俺らの世代独特で思う感情が芽生えてきて、何も要らないなって思って書きました」と紹介した。そして、ゲストコーラスの佐藤千亜妃をステージへ迎え入れる。佐藤は「よろしく」と一言だけ述べ、演奏を始めた。ゆるやかなアルペジオを鳴らし、穏やかな表情で歌い上げていく。聴いているこちらも、故郷の風景や匂い、懐かしい青春の1ページが蘇ってくるようだった。

 曲を終えてから「なんの思い出話もせんかったな、ミスった...…」と清水が口にしていたが、きのこ帝国は清水が高校生の頃聞いていたバンドであり、Age Factoryの自主企画ライブにも出演したことのあるバンド。思い入れのあるボーカリストを迎えた1曲かぎりのコラボレーションは、特別であっただろう。

  佐藤が去った後、各地のライブハウスで育ててきた始まりのアンセム「GOLD」を掻き鳴らし、一気にフロアのムードを変え、ブーストをかけた。間髪入れず「HUNGRY/猿」をプレイ。続けて異様なまでに滾る空気の中「CLOSE EYE」を披露した。撮影が許可され、スマホを片手にフロアは縦に揺れていた。西口は髪を振り乱し、増子は身を乗り出すかのような勢いで演奏を繰り広げる。清水の完全にスイッチの入った目に吸い込まれそうになり、ハードコアの爆発力を体感した。その後、彼らの青さを歌った新たなアンセム「HIGH WAY BEACH」を歌い上げると、たまらず清水は、「気持ちいい」と笑みをこぼしていた。

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