石原夏織、アルバム『Calm Scene』で覗かせた新たな顔 楽曲提供陣16名からメッセージも

石原夏織、シンガーとしての新たな顔

 石原夏織が、4年ぶりのアルバム『Calm Scene』をリリースした。1stアルバム『Sunny Spot』と2ndアルバム『Water Drop』が、アイドル的な雰囲気も纏ったミルクたっぷりのカフェラテだったとしたら、今作はビターな成分を多めに配合した大人の味わいといった雰囲気。お馴染みの作家による5周年という伏線を張り巡らせた楽曲に加え、☆Taku Takahashi、eill、多田慎也、春野、YHELなど新たなアーティスト/作家陣との出会いによって、新しい顔を覗かせる楽曲の数々が収録された。朝露を照らす太陽の輝き、夜の海を照らす月の輝き。石原夏織というアーティストの新たな輝きに満ちたアルバムの制作に迫った。なお、本記事3ページ目には、アルバム制作に参加した楽曲提供陣16名からのメッセージも掲載している。(榑林史章)【記事最後にプレゼント情報もあり】

みんなと調和して一緒に進んだからこそ、今の景色を見ることができている

石原夏織(撮影=晴知花)

――4年ぶりのアルバムということで、4年経つと大人になりますね。

石原夏織(以下、石原):(笑)。今回は、今までやっていなかったジャンルの曲もあり、メロディとか雰囲気も、確かに大人っぽいものにたくさん挑戦したなと、自分でも感じます。

――もともとそういうものにチャレンジしたいと思っていたのですか?

石原:そうですね。最初に決めたのはざっくりしたテーマでしたけど、その時はいつもの自分を残しつつ新しいことができたらいいな、まだ見てもらっていない部分を見てもらえたらいいなと思っていて。はたしてそれが何かまでは自分で分かっていなかったけど、プロデューサーさんから、「こういう曲調は歌ったことがないけど声に合いそうだし、年齢的にも合うから、新しい一歩としてやってみたらどうかな」と、提案していただいた曲もあって。

――楽曲はどのように選んでいったのですか?

石原:「Twinkle Ticking」はコンペで選ばせていただきましたけど、他は作家さんを指名して書いていただきました。例えばリード曲の「Harmonia」という曲は、作詞が中村彼方さん、作曲・編曲が俊龍さんで、このお二人のタッグは1stシングル表題曲「Blooming Flower」と同じなんです。せっかくアルバムで曲を書いていただくので、「Blooming Flower」と4thシングル表題曲「Face to Face」に繋がる三部作みたいなかたちにできたらいいなと相談させていただきました。その時点で5周年を越えていたので、今まで応援してくださっている方々が聴いて、何となく「Blooming Flower」や「Face to Face」と通じるものを感じてもらいつつ、そこから物語が進んでいる様子が見える曲がいいなとお伝えしました。なので、歌詞に〈花〉が出てきたりしますし、曲の雰囲気は、今まで俊龍さんが書いてくださった石原夏織像みたいなものから外れないようにとお願いをして作っていただきました。

――その「Harmonia」は、MVも撮影したそうですね。

石原:はい。ここ最近の私のMVは、カットが次々と変わっていくものが多かったんですけど、それよりもゆったりめで、そこも「Blooming Flower」と通じるように作っていただきました。ジャケット写真は緑ですけどMVは青い空と海みたいな感じで、アルバムタイトルにある「Calm」が「凪」という意味なので、静かな波が出てきます。MVで着ている衣装も、デビュー当時よりも大人っぽいイメージです。

石原夏織 "Harmonia" Music Video

――「Blooming Flower」の時は、どんな衣装だったのですか?

石原:黄色のざっくりしたセーターのゆるゆるな部屋着スタイル、あとはブルーの衣装も着ていました。でも今回は、女性っぽいシルエットのタイトスカートを履いていたり、首元が開いていたり。あとは、ドレスまではいかないけどワンピースタイプの衣装で、裾が3メートルくらいあって、それがとてもカラフルなんです。今6年目で、過去に歌ってきた楽曲もそれぞれ色のイメージが付いていたから、今までの曲やライブのカラーを後ろに背負っている感じがあって、今のタイミングだから着られた衣装だなって。ぜひそこにも注目してほしいです。

――「Harmonia」には、「調和」という意味もあります。

石原:はい。みんなと調和して、一緒に進んだからこそ、今こういう景色が見られていると思うし。この5年を振り返った時、どの場面にもファンのみなさんがいらっしゃったので、「Harmonia」という言葉からは、そういう情景がすごく浮かびました。それに「“ハル”モニア」で、春の季節にもぴったりだなって。

多彩なクリエイター陣とのタッグで挑戦した“静と動”の表現

石原夏織(撮影=晴知花)

――そんな「Harmonia」も収録したアルバムですが、タイトルの『Calm Scene』は、どんなイメージで付けたのですか?

石原:今回は、“静と動”を表現しました。前のアルバムまでは、疾走感がある曲が多いイメージが強かったと思いますけど、そうじゃない一面も見せられたらいいなと。私の印象って、きっと“元気”とか“明るい”だと思うんですけど、年齢的にも静かな一面を見せられたら表現の幅が広がると思ったし、それこそいろんな楽曲に挑戦できるのかなと思ったので、こういうタイトルを付けさせていただきました。

――そんなアルバムの1曲目「プルケリマを朝に」は、作詞・作曲をクボナオキさんが手がけています。

石原:クボさんに書いていただくのは3回目で、2ndアルバム『Water Drop』で書いていただいたのが最後です。それが「夜とワンダーランド」という曲なのですが、“夜”が明けて“朝”になったら素敵だというアイデアから、「プルケリマを朝に」というタイトルになりました。楽曲も、夜が明けて明るく華やかで元気な感じがあって、それにプラスして私はきらびやかさを感じ取ったのですが、それはプルケリマという言葉がラテン語で“世界で一番美しいもの”という意味なので、そのきらびやかさと過去のつながりみたいなものを考えて作ってくださいました。

――ここにも伏線がたくさんありそうですね。

石原:そうなんです。過去の楽曲に繋がるところがあります。ぜひファンのみなさんはフルを聴いた時に、気づいてもらえたらすごくうれしいです。楽器が好きな人は、そこから「ああ~!」と思うところもあると思います。

――曲の雰囲気として、みんなを引き連れてズンズン前に進むような感じだと思いました。

石原:はい。途中で〈ヘイ!〉と、みんなでかけ声をかけられるところもあります。ライブでも盛り上がりそうな一曲です。

――次に「recipe」と「ILLUSION」が、K-POPや洋楽のガールズポップの雰囲気で、攻めたなって思いました。

石原:そうですね。頑張りました(笑)。

――「recipe」の編曲には、m-floの☆Taku Takahashiさんが参加されています。

石原:☆Takuさんは初めましてだったのですが、m-floは幼い頃に聴いていましたから「本当に参加してくださるんですか!」と驚きました。作詞・作曲のeillさんも初めましてだったのですが、レコーディングの時に来てくださって、歌い方を丁寧に指示してくださって、学ぶことがいっぱいありました。仮歌をeillさんが歌ってくださっていて、「めっちゃ格好いいけど、私に歌えるかな?」って(笑)。

――きっと誰もが〈“ぱくっきゅんどーん”〉というラップ的なパートが気になるんじゃないかと。

石原:私も1コーラスを聴いた段階で、まさかこういうフレーズが出てくるとは思いませんでした。思わずびっくりして笑っちゃって(笑)。でも、すごく可愛いさが詰め込まれていますよね。eillさん的にも、私が声優をしていることから格好いいラップというよりも、歌詞に〈(CV)〉と出てくるように、キャラクターボイスみたいな感じでけだるいけど可愛くやってほしいと。

――〈“ぱくっきゅんどーん”〉は、心臓がキュンッとして、みたいな?

石原:私もそんな感じなのかなって。どういう意味なのか、ちゃんとは聞いていなくて。〈“むぎゅばぁがーん”〉とか、すごく気になります(笑)。

――こういうトラックで歌ってみていかがでしたか?

石原:すごく楽しかったです。歌い方も含めて、自分になかった引き出しを開けてもらった感じです。アクセントをめちゃめちゃ付けて、でも“付けてます感”を出さない。それは今まで歌ってきたJ-POPにはなかったニュアンスの付け方で、リズムに乗って歌うのも楽しかったですね。

石原夏織(撮影=晴知花)

――「ILLUSION」もそういうテイストで、クールめに歌っているのが印象的です。

石原:いつもだったら、「キラキラで」とか「可愛く」とか、そういうことを指示でいただくことが多くて。でもこの曲は、「力を抜いて言葉を少し甘くしながら、息を多めにつぶやくように歌う」とか、「クールめに、ダウナー系で」という指示のもとで歌いました。編曲のYHELさんが、韓国のトラックメイカーさんだったんですけど、せっかく初めてこういう曲を作るなら、やっぱり本場の人がいいよねとなって、お願いさせていただきました。

――フェイクが多く入っているのもポイントです。

石原:フェイクはやり慣れていないから、最初は「できるかな」と思いました。一応フェイクにメロディを付けてくださっているんですけど、それを歌うような感じで表現するのは違うし、いわゆるアドリブみたいな雰囲気を出せるようになるまで、とても難しかったです。こなれ感を出すのが、すごく難しかったですね。

――K-POPは普段から聴いているんですよね。

石原:はい。だからこそ、難しいと知っていたので、自分では歌えないんじゃないかと。普段K-POPを聴きながら「こういう風に歌ってみたいけど、こういう曲が来ることはないんだろうな」と思っていました。でも今回提案いただいて、「じゃあついにやってみるか?」みたいな感じで制作することになったところまでは良かったけど、「ドキドキするな~」と(笑)。でもすごく頑張ったので、たくさん聴いてほしいですね。

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