アンチ・ヒーローたちの下克上!? アメコミ映画の新局面を切りひらいた『スーサイド・スクワッド』

『スーサイド・スクワッド』が大健闘
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 まずは、3週連続1位の『君の名は。』について。先週末の土日2日間の動員は85万2000人、興収は11億35000万円と、ほぼ2週目と同じ。今週のウィークデイに入ってからも日によっては前週比を超える数字を叩き出していて、特にウィークデイは客層がこれまでの10〜20代中心から確実に全世代へと広がりつつあるという報告も。累計興収も今週末には早くも80億超えが確実で、名実ともに「国民的映画」となりつつある。一体、何週連続1位を独走することになるのだろうか?

 というわけで、雲の上の『君の名は。』はひとまず置いておいて、地上戦に目を向けよう。先週末初登場2位となったのはDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う『スーサイド・スクワッド』。土日2日間の動員は24万7000人、興収は3億9000万円。この数字はなかなかの快挙。というのも、同じく今年の公開作で非常に前評判の高かった20世紀FOX配給のマーベル作品『デッドプール』の初週土日2日間の興収3億8333万2900円を、僅かながら上回っているのだ。『デッドプール』に不利な点を挙げると、『デッドプール』は「映画の日」の水曜日が初日とイレギュラーな公開日であったこと。また、『スーサイド・スクワッド』に不利な点を挙げると、『デッドプール』の724スクリーンに対して、その半分以下の337スクリーンでの公開であること。なので、単純に数字を比較して勝敗を決めるのは難しいが、スクリーン数の少なさというハンデがありながら互角の勝負になっている。

 『スーサイド・スクワッド』はアメコミ映画ファンにはお馴染みのジョーカーが活躍(「想像していたよりも登場シーンが少ない!」という声も上がっているが)、そしてバットマンもチラッと登場するなど、純粋に「まったく新しいシリーズ」とは言いにくい側面もあるが、それでも日本でアメコミ映画の新フランチャイズがこの規模のスタートダッシュをするようになったのは、『デッドプール』同様に、今年に入ってからの新局面と言っていいだろう。

 ちなみに、昨年の同じ9月に日本公開された新フランチャイズの『アントマン』の初週土日2日間の成績は動員14万3,236人、興収2億39万6,500円。一昨年のこれまた同じ9月に日本公開された新フランチャイズの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の初週土日2日間の成績は動員17万6233人、興収2億2414万5400円。いずれの作品も本国アメリカでは大ヒットを記録し、非常に高い前評判の中で日本公開されたことをふまえると、少々物足りない数字だったことがわかる(公開当時はそれでも「アメコミ映画1作目の日本での興行としては十分健闘した」とされていたが)。

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