『相棒』水谷豊×反町隆史の魅力とは? 歴代コンビと比較して考察

 毎年恒例となっているテレビ朝日系の人気刑事ドラマ『相棒』の元日スペシャルが、1月1日の21時から『相棒16 元日スペシャル』第10話「サクラ」として今年も放送される。反町隆史が4代目相棒になって早くも3シーズン目に突入し、水谷豊とのコンビには絶妙な距離間が生まれ、安定してきている本シーズン 。そこで今回はスペシャルを前に、歴代『相棒』コンビと比較しながら、2人の魅力について捜査してみたい。

 『相棒』はいわゆるスタンダードなバディものの刑事ドラマで、対照的なキャラクターの二人が難題に立ち向い、どう理解しあっていくのかに面白さがある。特にそれぞれの“相棒”たちが、水谷という強烈な個性のベテラン俳優演じる、天才かつ変人キャラ杉下右京を、いかに理解し認められていくのかといった、ある種の化学反応がこのドラマの見どころの一つだ。

 歴代の相棒のキャラクターを振り返ると、右京とはそれぞれ違う角度から対照的となっている。初代の亀山薫(寺脇康文)は、頭脳系の右京に対し、情熱的で正義感が強く、頭より先に体が動く不器用なタイプ。2代目の神戸尊(及川光博)は、スパイとしてやって来たクールで理性的な持ち主の切れ者。犯罪者に制裁を加えるダークナイトとして賛否両論のバッドエンドを迎えた3代目の甲斐享(成宮寛貴)は、右京が初めてスカウトした師弟関係のような若き相棒という特徴があった。それらを踏まえての4代目・冠城亘(反町隆史)は、強いて言えば曲者だろうか。

 亘は、元々は法務省から警視庁へ出向してきたキャリア官僚で、最初は右京が所属する特命係をただ間借りしていたお客さん。後に警察学校の研修を終えて特命係への異動を要請し再び配属されるという、シリーズ初の警察官ではない相棒だった(その後、警察官に)。

 キャラクター的には、「事件捜査については僕は素人同然」と言いながら駆け引きは一流という頭脳明瞭であり、プレイボーイでお茶目な面もある。ただ、真実を突き止めることへの執着は右京とも重なり、2人の探り合いのような関係が面白い。本シーズンで警察学校の教官のメモに、「常におどけた仕草や軽口をたたく傾向がある。目的の為なら奔放で大胆な行動をとりがちで危なっかしい。ただし彼には矜持(きょうじ)がある。キャリア官僚の立場を捨ててまで刑事になろうとした強さ。それは正義を貫く強さだ」と記されている。

 そしてこのキャラを演じる反町が抜群に良い。最近は真面目で大人しめの演技をしていた印象の彼だが、亘はどこか『ビーチボーイズ』や『GTO』の時のような、普段はおちゃらけているが心には熱いものを持っている、“あの頃”の反町が得意としていた演技がよみがえっているのではないかと感じられる。寺脇、及川、成宮らが務めてきた今までの“相棒”は、水谷のサポートとして番組を作り上げてきた印象だが、最近は今までの『相棒』にはない空気感がある。主役経験の豊富な俳優である反町なだけに水谷と対等に渡り合える関係性が、新しい世界観を築いている。

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