地上波ドラマとの違いとは?  『会社は学校じゃねぇんだよ』P陣が語る、AbemaTVならではの強み

P陣が語る『会社は学校じゃねぇんだよ』

 AbemaSPECIALチャンネルにて放送中の、AbemaTV開局2周年記念オリジナル連続ドラマ『会社は学校じゃねぇんだよ』が、若者を中心に大きな注目を集めている。三浦翔平が連続ドラマ初主演を務める本作は、金もなければコネもないが、夢だけはでかい主人公・藤村鉄平(三浦翔平)が、地の底まで落ちても這い上がり、夢のために邁進する、ベンチャー企業の奮闘を描いたリベンジサクセスストーリーだ。

 今回リアルサウンド映画部では、本作のプロデューサーであるメディアミックス・ジャパンよりAbemaTVに出向中の神通勉氏と、AbemaTVの編成制作本部制作局長で本作のプロデユーサーにも名を連ねる谷口達彦氏にインタビューを行った。ドラマの制作背景から、視聴者からの反響、そして地上波ドラマとの違いなどについて語ってもらった。(編集部)

神通「AbemaTVの自由度は非常に魅力的でした」

――この『会社は学校じゃねぇんだよ』というドラマは、そもそもどんな発想からスタートしたドラマなのでしょう?

谷口達彦(以下、谷口):このドラマのアイデア自体は、もともと社長の藤田(晋)から出ています。AbemaTVのオリジナルドラマのコンテンツに関しては基本的に藤田が決めているのですが、そこで「ベンチャー企業を題材としたドラマをやりたい」という話が藤田のほうから出て。これまでの日本のテレビドラマで描かれていたベンチャー企業の社長というのは、比較的ビッグマネーみたいなものに寄っていきがちでしたが、本当のネットベンチャーの社長というのは、全然そんなことはなくて。自分たちで作れば、そのあたりのリアリティを、ちゃんと出せるのではないかという話になり制作に向けて進んでいきました。

――医者が医者ドラマを作ったり、刑事が刑事ドラマを作ったりするように、ベンチャー企業の社長がベンチャー企業のドラマを作ろうと。

谷口:そういうことになりますかね(笑)。

――といった話を受けて、本作のプロデューサーである神通さんは、どのようなドラマにしていこうと?

神通勉(以下、神通):僕のところに話がきたときは、鈴木おさむさんが脚本を書き、三浦翔平さんが主演を務めるといったように、ある程度その枠組みたいなものは整っていました。『渋谷ではたらく社長の告白』という藤田社長の本をもとにドラマを作るということで、あの本自体すごく面白い本ですし、起業することで降りかかってくる厳しい現実や孤独と絶望など、ドラマにしたらきっと面白いものになるんじゃないかとは思いました。そういう期待感とワクワクがあったので、そこを第一に作っていければいいなと思っていました。

神通勉氏

――神通さんは、『特命係長 只野仁』(テレビ朝日系)シリーズなど、これまで数多くの地上波ドラマに関わってきましたが、今回はAbemaTVというインターネット放送局のドラマということで、何がいちばん違いましたか?

神通:地上波との違いというところで言えば、ターゲットの違いがひとつ挙げられるかと思います。地上波のドラマは今、テレビをよく観る上の世代向けのものが多く、刑事・医者・弁護士などを主人公としたものが多いので、ダイレクトに若者に向けたドラマって、実はあまりないんですよね。そもそも若者層が、あまりテレビを観なくなったという背景があるからだとは思うのですが、若者向けをやっても視聴率が取りにくいので、どんどん上の世代向けのものになっていくという。そういう風潮があるなかで、AbemaTVの場合は、明確に若者向けのドラマをやりたいという話だったので、そこは大きな違いですかね。

――実際にドラマを制作していくなかでの、違いみたいなものは感じましたか?

神通:何よりもまず、自由度が高いことです。それこそ、今回の『会社は学校じゃねぇんだよ』の場合、1時間の放送枠があってそのなかの本編の放送尺って、実は明確には決められてはいません。大体30分から40分のあいだで本編を作って、そのあと『まだまだ終わりじゃねぇんだよ』というタイトルで出演者たちが登場する現場裏トークの番組を放送して、トータルで1時間になっています。地上波の場合、CMのタイミングも含めて、どうしてもあらかじめ枠が決まってしまっているので、脚本の段階からその枠にはまるものを作らなければならないし、編集に関してもそうです。そういったどうしても制約が多くなってしまうものと比べると、AbemaTVの自由度は非常に魅力的でした。

――プロデューサーとしては、ここはこだわったという点はどこでしょう?

神通:今回のドラマで言ったら、タイトルにもなっている、この「会社は学校じゃねぇんだよ!」という、三浦翔平さんが毎回劇中で決め台詞として使うフレーズですね。そこは非常に重きを置きました。その台詞を、どんな文脈のなかで、どう言わせるのが、いちばん違和感なく、なおかつ物語のなかで効果的に響くかっていう。それについては、脚本の鈴木おさむさんや、監督の藤井道人さんも含め、毎回いろんな議論をしていました。物語の最初の頃は、明確な敵みたいなものがいて、それに対して三浦さんがその台詞を言ってスカッとする感じだったのですが、後半にいくにつれて、いろんなバリエーションを持たせたりしているので、そこはちょっと注目していただきたいところですね。

――毎回、同じ台詞であるにもかかわらず、物語の進展に伴い、そのニュアンスがちょっとずつ変わっていくのが面白いと思いました。

神通:そうですね。全8話あるなかで、最初の4話までが「第1章」で、そこから2年の時間経過があって第5話から後半戦に突入していく感じなので、そういう意味では、三浦さんの役作り的にも、その2年のあいだに何があったのかが大事になっています。最初は勢いだけで、起業とかビジネスのこともわからなかった三浦さん演じる「鉄平」が、2年のあいだに死ぬ気で勉強して、ビジネスのこともいろいろわかってきたという、その成長みたいなところも見せたいと思っています。あと、会社が大きくなっていくにつれて、社内でのすれ違いみたいなことも出てきますし、社長という立場の孤独感みたいなところも描きたいところではありました。三浦さん演じる「鉄平」というのは、それを踏まえながらのキャラクターになっていると思います。

――三浦さん演じる「鉄平」という主人公の人物造形は、本作のキーになっていますよね。ある意味、責任重大というか。

神通:そうですね。鈴木おさむさんと三浦翔平さんは、以前『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)というドラマでもご一緒されていて、そこで三浦さんは、キレるシーンで「怪演」に近いような演技もされていて、話題になっていました。三浦さん自身、俳優として、かなり振り切ったお芝居をされていて。三浦さんのそういう面は、今回のドラマでも活かされていて、若い人たちにも、かなり刺さるのではないかと思っています。もちろん、全部が全部そういうお芝居ではないですが、一発パチンとスイッチが入ったときに、決め台詞を言って、バシッと啖呵を切るみたいな。そういうところはやりたいなと思っていて、逆算して作ったみたいなところは、ちょっとあるかもしれないですね。

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