テレ東ドラマBizはTBS日曜劇場を超えるか? 『ラストチャンス』に見るビジネスブランディング

ドラマBizは日曜劇場を超えるか?

 2018年の4月から新たにスタートした連続ドラマ枠のドラマBiz。働くことをテーマにビジネスドラマを展開するというのがコンセプト。今年4月期に放送された第1弾の『ヘッドハンター』は、リサーチ会社のヘッドハンターの主人公を『日経スペシャル ガイアの夜明け』の江口洋介が演じたほか、テレ東22時台の番組に出演する俳優たちも総出演し、この枠のイメージ、ブランディングを強く印象付けることに成功していた。

 しかも、第1弾の企画はオリジナルであった。テレ東がビジネスの現場を取材してきた経験も存分に生かされているのではないかと思われたし、第1話から、ヘッドハンター同士の攻防と同時に、ヘッドハンティングされる側の心情――信頼している上司にもヘッドハンティングされていることを言えない苦悩や葛藤――などもうまく描かれており、人間ドラマとしてもアツかった。

 そして7月から始まった第2弾の『ラストチャンス 再生請負人』は、前作と違い、原作ものである。原作者は、元銀行員の江上剛。彼の実体験をもとに書かれた2011年の小説をドラマ化している。そこは、TBSの日曜劇場でおなじみの池井戸潤(彼も銀行で働いていた経験をもとに多くの作品を書いている)の原作をドラマ化することと、意義としては似ている。

 実際、江上剛の小説も、2009年に『隠蔽指令』がWOWOWの連続ドラマWで映像化されたほか、その後も2017年のテレビ朝日系日曜ワイドで『庶務行員 多加賀主水が許さない』が単発で、また『ザ・ブラックカンパニー』は、フジテレビTWOで2018年の2月からドラマ化されたばかりだ。本作はドラマ化4作目となる。

 TBSの日曜劇場や、WOWOWの連続ドラマWの名前に触れたが、ドラマBizは、やはりこの枠の競合として見る人は多いのではないだろうか。

 ビジネスの現場で、組織の再建を描きつつ、その中の権力闘争や人間関係を描くものが多いという意味では、これらの枠はある程度イメージやブランディングができている。そこに参入したのが「ドラマBiz」だと言っていいだろう。

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