本田翼のアクションの背景にある信念とは? 『絶対零度』小田切のキャラクター像を振り返る

『絶対零度』本田翼のアクションの背景

 人型の赤いクッションを背に乗せて、資料課の面々と話し合うその姿は、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)ではすっかりお馴染みになってきた。本田翼演じる小田切唯は、資料課では紅一点。思ったことは、割と平気で口にすることができ、同僚の山内(横山裕)や、南(柄本時生)に対して、しばしば遠慮なく勝気に振る舞う。作中では、主人公の井沢(沢村一樹)や山内も巧みなアクションシーンを見せるのだが、小田切もまたドSな台詞とともに豪快な格闘を繰り広げるのが話題になっている。そこで、これまでの放送で見られた、小田切を特徴づける印象的な場面を振り返るとともに、彼女の持つパワフルさを考察していこう。

 直近の連続ドラマでいえば『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系、以下『奥様』)に出演していた本田。主演の綾瀬はるかが、次々と敵を倒していく本格アクションは、見ていて非常に痛快なものであったことは記憶に新しい。『奥様』での本田の役柄は、そんな綾瀬が演じるヒロインに対して、どこか憧れと信頼のようなものを抱く近所の友人として描かれ、『絶対零度』で様々なアクションを繰り広げる小田切とはかなり異なる。今回の本田の役柄は、『奥様』の綾瀬的な強さに近づいた女性と言えよう。

 とはいえ、そんな小田切は、実は学生時代に男性から襲われた過去を持っていた。実際、本作のある捜査の中で、危険を察知した山内から不意に後ろから体を引き寄せられた時にも、思わず恐怖で震え上がってしまう一幕があった。過去に暴行を受けたことがあれば、おそらく一生涯トラウマとして残り、男女問わず、その心の傷跡を抱えていかなくてはならないもの。できるだけそんな過去は早く忘れたいのではないかと考えてしまうが、小田切は警察官になって、むしろ自分から悪と正面から立ち向かっていく道を選んだ。 

 第3話終盤の井沢と東堂(伊藤淳史)の会話から、資料課に集められたのは、過去に犯罪に巻き込まれ、強い憎しみを持つ者たちであることがうかがい知れた。小田切も前述の暗い過去が、その憎しみの理由となっているように思われる。悪を憎むことを原動力にミハン(未然犯罪捜査システム)に携わる。しかし、悪を憎むことだけに固執した極端な結果の一つが、田村(平田満)だったのも事実だ。田村は、法で裁けない悪人を自らの手で処刑していた。ただ、法では裁けない人間に対して、やるせなさを感じているのは小田切だって同じである。

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