永野芽郁は2000年代をどう駆け抜けたか? 『半分、青い。』鈴愛が過ごした10余年を振り返る

鈴愛が駆け抜けた2000年代を振り返る

 主人公・鈴愛(永野芽郁)に焦点を当てて、『半分、青い。』(NHK総合)をざっくり分けると、1971年〜1990年の3月にかけては彼女の幼少期から始まる岐阜での生活を描き、おおよそ1990年代は主として秋風塾での漫画家人生にスポットを当てたものとなった。9月3日放送の第133話では、律(佐藤健)がアメリカから帰国した後の、2010年からスタートし、2000年代は終わったことになっている。さて、ここまでのいわゆるゼロ年代の10年間(厳密には、鈴愛が秋風塾を去ったのは1999年のこと)は、鈴愛にとってどんな時代であったと総括できるだろうか。

 90年代の鈴愛は、裕子(清野菜名)たちの思いに寄り添うことはあっても、基本的には自分自身の夢のことで精一杯なところが大きかった。もちろん40歳近くになっても、相変わらず鈴愛の人間的な面では、横紙破りで、奔放すぎるところがあるのは否めないという指摘もあるだろう。ただ、その後の時代は漫画家時代とは違って、できる限り人のために汗を流そうという意志が、要所要所で見えた。

 例えば、涼次(間宮祥太朗)との結婚生活でのこと。映画の世界で頑張っていきたいと強く思う涼次に対して、鈴愛はそんな彼を支えたいと決心した。その後の2人の結婚生活はご存知の通り、残念な結果で終わってしまったものの、花野(山崎莉里那)というかけがえのない存在は手放さずに済んだ。

 そうして、来る2008年、故郷に戻った鈴愛はしばらく岐阜での生活を続けたのち、五平餅を提供する飲食店の開店を決意する。そこでは、仙吉(中村雅俊)の五平餅の味を伝えていくことも目的の1つにあったわけだが、もう1つ、カフェ開店とほぼ同じくして生み出したものに、“岐阜犬”が挙げられる。その岐阜犬は、健康状態が日に日に悪くなっていく和子(原田知世)にやりがいのあることを提供したという意味で、晩年の和子にとって大きな意味のあることだった。

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