日本映画界が患うリメイク病? 同じ原作の実写/アニメや韓国作品リメイクが生まれる理由

日本映画界でリメイクが生まれる理由

 土曜日が映画サービスデーと重なった先週末の動員ランキングは、『検察側の罪人』が動員28万4000人、興収3億3900万円をあげ2週連続で1位。動員比で前週からわずか約10%ダウンにとどまっていること、そして平日も好稼働が続いていることは、同作が木村拓哉や二宮和也などの出演者のファンだけでなく、シニア層を含む幅広い層の観客を獲得していることを示している。

 初登場作品では、マーベル・シネマティック・ユニバースの新作『アントマン&ワスプ』が土日2日間で動員23万9000人、興収3億2200万円をあげて、動員では3位、興収では2位につけている。シリーズ前作『アントマン』のオープニング土日2日間動員対比で167%という数字は良好ではあるものの、近年のマーベル作品はファンベースの成熟とともに動員が初動に偏りがち。そしてその初動をもってしても、『ブラックパンサー』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に続き、今回も1位になるチャンスを逃したことになる。年間を通じてマーベル作品が1週も1位を獲れなかった国。それが2018年の日本だ。

 今回注目したいのは、初登場7位の『SUNNY 強い気持ち・強い愛』と、初登場10位のアニメ版『君の膵臓をたべたい』の両作品。前者は全国317スクリーン、後者は全国173スクリーンと公開規模に差はあるが、いずれも期待外れのスタートとなった。両作品からは、現在の日本の映画界、テレビ界が直面している問題が見えてくる。

 まず10位のアニメ版『君の膵臓をたべたい』。原作の住野よるの小説は、昨夏に実写版映画が公開されて、興収35.2億円(実写日本映画では年間2位)の大ヒットを記録したばかり。それから約1年後にさらにアニメ版の映画を公開するという流れは、もちろん原作者の許可もあってのことだろうが、いささか短すぎるインターバルだったのではないか。近年同じような例としては、「実写からアニメ」と「アニメから実写」で順番は違うが、アニメ版『心が叫びたがってるんだ。』(2015年9月公開)と実写版『心が叫びたがってるんだ。』(2017年7月公開)があった。こちらも先行するアニメ版はヒットを記録したものの、追って公開された実写版は大苦戦。1年や2年では作品のメインターゲットとなる層もほぼ変わらない上に、アニメがすっかり自国カルチャーのメインストリームとなった社会で育ってきた現在の日本のティーンは、実写映画もアニメ映画も分け隔てなくフラットにとらえている世代。つまり、ほぼ同じ観客に向けてフォーマットの違う作品を1、2年置きに送り出していることになるわけで、後発作品の分が悪いのは無理もない話だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる