佐野勇斗、着実に広げる表現の幅 『青夏 きみに恋した30日』『3D彼女 リアルガール』から分析する

ヒロインを魅了する佐野勇斗

 7人組ボーカルダンスユニット・M!LKのメンバーとして活躍する佐野勇斗。役者としてもメキメキと頭角をあらわし、現在公開中の映画『3D彼女 リアルガール』では、2次元を愛する超絶オタク・筒井光役をコミカルに演じている。

 2015年に映画『くちびるに歌を』で俳優デビューした佐野は、2016年放送のドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)で演じた高野亜紀(菅野美穂)の長男“お兄ちゃん”役で注目を集めて以降、その活躍はめざましい。とりわけ今年に入ってからは、ドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ系)にはじまり、映画『ちはやふる -結び-』『羊と鋼の森』『青夏 きみに恋した30日』『3D彼女 リアルガール』が続々公開と、ブレイク街道を爆走中である。

『青夏 きみに恋した30日』(c)2018映画「青夏」製作委員会

 映画初主演となった『青夏 きみに恋した30日』(以下『青夏』)で演じた吟蔵は、田舎育ちの高校生。小麦色の肌にガッチリとした体つき、それでいて女性にも優しいイケメンだ。とはいえ、それは表面的なカッコよさばかりでなく、芯の通った男気あふれるイイ男。決して濃いキャラクターとはいえず、あくまで内側からカッコよさを滲ませねばならない難しい役どころである。佐野は、役作りのために肉体改造したことも明かしているが、その佇まいと面持ちは『青夏』が持つ、どこか懐かしくて純朴な世界観に合致。キラキラ輝くと言うよりは、メラメラと燃える熱さを持つ吟蔵に、佐野らしい瑞々しさを加えたことで生まれた好青年ぶりが印象的だった。

 そんな『青夏』公開から1カ月あまり、現在公開中の『3D彼女 リアルガール』(以下『3D彼女』)で佐野が演じているのは、2次元を愛し、リアルを遠ざけて生きてきた超絶オタクで、通称つっつん。フィギュアを愛でる目付き、少し早口な話し方にクネクネとした歩き方……周囲から気持ち悪いと蔑まれるつっつんは、誰からも愛される吟蔵とは逆を行く役柄だ。

 『3D彼女』は、学校一の美女とオタクというあり得ない恋愛を描いた物語。ヒロインの五十嵐色葉は中条あやみが演じており、劇中に登場する「よくできたフィギュア」というセリフに何の違和感も抱かないほどの美しさ。つっつんはそんな色葉から告白を受け、“新手のイジメ”ではないかと疑いながらも、ワケあって交際をスタートさせる。

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