『グッド・ドクター』と『透明なゆりかご』に共通点? 命が交差するドラマが教えてくれたもの

命が交差するドラマが教えてくれたもの

 今期の夏ドラマで評価が高く、SNSでも話題になり、とりわけ印象に残る作品となった『グッド・ドクター』(フジテレビ系)と『透明なゆりかご』(NHK総合)。9月13日に最終回を迎えた『グッド・ドクター』では自閉症スペクトラム障害でサヴァン症候群の青年が、偏見や困難を乗り越えて、小児外科医として成長してゆく姿が描かれた。そして、9月21日に最終回を迎える『透明なゆりかご』は、町の小さな産婦人科医院で看護師見習いのアルバイトをする少女が見つめる命をめぐる物語だ。

 医療ドラマというだけでなく、この2つの作品にはいくつかの共通点がある。病気を治療して解決という単純な話ではなく、その患者と家族、医師や看護師の心の動きを丁寧に追うヒューマンドラマであること。『透明なゆりかご』の中で描かれるのは、幸せな出産だけでなく、中絶や望まない妊娠によって消えていく命を取り上げる、むしろ産婦人科の陰の部分だ。妊娠をきっかけに逃げてしまう男性がいる一方、女性はたとえ心の準備ができていなくてもすべてを背負わなければならず、ひとりで対処しきれない苦境に立たされることもある。

『グッド・ドクター』(c)2018フジテレビ

 『グッド・ドクター』の第8話、小児科医の瀬戸夏美(上野樹里)のセリフに「私たち小児外科医は、子供の命を救うだけじゃない。その未来も預かってるの」とあったように、小児外科もまた子供の病気やケガを治療するだけの場所ではなく、子供とその家族の未来を考慮したうえで最善の方法を導くための決断が迫られる。

 小さな命のたくましさと儚さ、その命に真摯に向き合う人々の人間ドラマ。命には望まれて生まれてくる輝く命もあれば、人知れず消えていく透明な命もある。圧倒的な生命力で誕生できたとしても、病気もケガもなくすべての子供が大人になれるとは限らない。切実で重いテーマを扱っている分、どちらの作品も主人公のまっすぐな眼差し、ピュアで爽やかな好演が際立った。

 この2つの医療ドラマの主人公は、コミュニケーション能力に障害を抱えている。山崎が演じた『グッド・ドクター』の主人公・新堂湊は、自閉症スペクトラム障害でサヴァン症候群のため、周囲の人とのコミュニケーションがうまく取れないが、驚異的な記憶力で医師としての能力を発揮できる。一方、『透明なゆりかご』の主人公・青田アオイ(清原果耶)は、医師から子供の頃に発達障害(注意欠如・多動性障害)と診断される場面があった。

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