『アリー/ スター誕生』米大絶賛の理由 2018年的刷新とレディー・ガガに重なる物語がポイント?

『アリー/スター誕生』に米大絶賛の理由

アカデミー賞有力候補。『アリー/ スター誕生』は保守的なのか?

「『スター誕生』に生肉ドレス女など格下げもいいところだ」 - New York Post

 これは『アリー/ スター誕生』(原題『A Star Is Born』)のキャスティングが発表された際の評論家ジョニー・オレンスキーによるコメントである。ジュディー・ガーランドやバーブラ・ストライサンドが務めてきた偉大なる「スター役」に、生肉をまとう奇抜セレブことレディー・ガガなど見合わないと苦言したわけだ。しかしながら、彼の厳しい態度は映画を観るやいなや一変した。

「レディー・ガガの演技はアカデミー主演女優賞に足る。『アリー/ スター誕生』は今年一番の映画だ」 - New York Post

 ガガを絶賛した批評家はオレンスキーに留まらない。The Film Stageは「素晴らしいという他ない」、Varietyは「魅惑的で成熟したムービースターデビュー」と褒め称えている。さらに、オスカー像すらも夢ではない状況だ。2018年10月20日現在、アワード予想サイトGoldDerbyではガガが主演女優賞候補のトップ。映画自体の評価も高く、Rotten Tomatoesメーターは89%。Hollywood Reporterのアカデミー会員取材では、主演や監督部門含め「10ノミネートは行くだろう」と語られている。日本での公開は12月21日とまだ先だが、第31回東京国際映画祭のオープニング上映作品にも決まっており、その話題性は追って日本国内にも波及していくことだろう。歌手の映画主演デビュー、俳優の監督デビューとして、まさに「スター誕生」な本作だが、こうしたアカデミー賞有力視の裏には何があるのか、作品内容とともに探ってみよう。

「レディー・ガガがアカデミー賞を救えないのなら、誰も救えない」 - GoldDerby

 まず、Forbesがまとめるように、評価のみならずセールスも良い。製作費3,600万ドルのこの作品は、公開から12日で1億ドルを稼ぎ出した。なによりも、主演は21世紀を代表するポップスターだ。映画とキャストの人気はアワードへの注目度、および視聴率に繋がる。『アリー/ スター誕生』は、レーティング下降に悩むアカデミー賞からしたらありがたいスター映画なのである。さらには、アカデミー会員内でも評判がすこぶる良い。

「アカデミー会員試写でこんなにも多くの高齢者を見たのは初めてだ!」 - Hollywood Reporter

 2018年10月に行われた『アリー/ スター誕生』のアカデミー会員向けの試写は満員となった。劇場では泣いている人も多かったようで、その場はまさに「10ノミネートは行きそうな」熱狂を迎えた。華々しいデビューを飾ったこの映画は一体どのような内容なのだろうか? アワードレースに被せるなら、引用コメントにある「高齢者」が鍵だ。

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