『のむコレ』でアジア映画の“熱”を体感せよ 『狂獣 欲望の海域』『The Witch/魔女』に注目

『のむコレ』でアジア映画の“熱”を体感せよ

 今、アジア映画が熱い。特にアクション映画は熱い。ここ日本でも近年グングンとアクション映画のレベルが上がっているように、アクション映画の聖地・香港も、“ヴァイオレンス映画大国”となった韓国も、凄まじい勢いでアクション映画の平均値が上がり続けている。今回の記事では映画館・シネマート新宿/心斎橋で実施されるイベント「のむコレ」で公開される映画から、そんな“熱”を感じ取れる2本のアクション映画を紹介させて頂こう。

『狂獣 欲望の海域』

(c)2017 SUN ENTERTAINMENT CULTURE LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

 1本目は『狂獣 欲望の海域』(17年)。海に沈む金塊を巡る野獣刑事と密漁団の対決を主軸に、複雑に絡み合う男たちの欲望を格闘アクションたっぷりで描いた作品だ。いわゆる香港ノワールであるが、特筆すべきは主人公の野獣刑事の野獣レベルが高すぎる点だろう。悪人を見つければ即突撃して叩きのめす。たとえ刃物を持った悪党たちに囲まれても、一切躊躇せず、顔色一つ変えずに殴りかかる。まさに文字通りの狂獣だ。この野獣刑事ならぬ狂獣刑事を演じるのが“次に来る男”マックス・チャンである。

 マックス・チャンは『ドラゴン×マッハ!』(15年)でトニー・ジャーとウー・ジンを1対2で圧倒する最強獄長を、『イップ・マン 継承』(15年)でドニー・イェンの好敵手を演じた人物だ。ちなみに『パシフィック・リム:アップライジング』(18年)の「妙にシュッとした司令官」でもある。残念ながら同作ではアクションをしなかったが、もしも彼がイェーガーに乗っていたなら、KAIJUもプリカーサーも3分も持たなかっただろう。アクションスターとしての技量は勿論、44歳とは思えない若々しさとシュっとしたビジュアルの持ち主であり、直近では『イップ・マン』シリーズの外伝にして主演作『葉問外傳 張天志』が控えているなど、“次に来る男”と呼ぶに相応しい。さらに共演には『SPL 狼たちの処刑台』(17年)で異常に格闘スキルの高い人情刑事を演じたウー・ユエや、『インファナル・アフェア』(03年~)シリーズでお馴染みのショーン・ユーが脇を固める(本作ではラッパーの般若そっくりなワイルドな風貌になっている)。映画全体としては若干の勇み足な感は否めないものの、マックス・チャンやウー・ユエのアクションは一見の価値がある。これからの彼らに期待が高まる1本と言っていいだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる