米倉涼子になぜ魅入ってしまうのか 『ドクターX』『リーガルV』に共通する“余裕と自由”

米倉涼子になぜ魅入ってしまうのか 

「私、失敗しないので」

 『相棒』と双璧をなすテレビ朝日の看板ドラマ、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』のヒロインの名台詞である。主人公は米倉涼子が演じるフリーランスの外科医。そんな彼女が次々と困難な手術に果敢に挑んでいく姿がお茶の間の注目を集め、今なお絶大な人気を誇るドラマである。そして、医療の世界から司法の世界に舞台を移して、再び米倉の痛快な活躍ぶりを観られるのが、現在放送中の『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』(テレビ朝日系)だ。なぜ、米倉が演じるヒロインの姿は注目を集めるのだろうか?

ヒロイン/ヒーローには“自由”がよく似合う

 『ドクターX』のヒロイン・大門未知子はフリーランスの外科医という特別な存在。もちろん、そんな大門の周りにも支えてくれる人間はいるものの、時に病院という組織に属する人間たちと反目したり、癖のあるライバルと火花を散らすこともしばしば。一方、『リーガルV』の小鳥遊翔子も何となく大門の雰囲気を思わせるところがある。ある出来事がきっかけで弁護士資格を失った小鳥遊は、いろいろな経歴やキャラクターをもった曲者たちでできた弁護士事務所の“管理人”というポジション。とはいえ、その事務所にやってきた弁護士の青島圭太(林遣都)をこき使うなどして、実質的には依頼の多くに首を突っ込む。同時に、古巣のFelix&Temma法律事務所の面々と今では対立し、毎話で緊張関係を垣間見せる。

 大門しかり、小鳥遊しかり、どこか飄々として、自身に満ち溢れ、くだらないしがらみを好ましく思わない。こうしたキャラクターにこそ、主人公を“カッコよく”際立たせる要素が含まれているのかもしれない。自信家で自分が思っている正しさを堂々と口にする。そんな主人公の姿からはどことなく“自由”を感じる。もちろん、いつも完全に自由であるというわけではない。目の前に立ちはだかる人間や組織によって邪魔されたり、時に追いつめられたりすることだってある。

 『相棒』の右京(水谷豊)もまた、特命係という警視庁の中でも特殊な位置を占める存在だ。確かに、上層部や捜査一課から活動を制限されたり、組織の論理に従わされたりすることはあるし、そうしたしがらみのせいで思うように捜査できないことも割とある。とはいえ、特命係の捜査スタイルに関して言えば比較的“自由”な方だ。米倉主演のドラマであれ『相棒』であれ、視聴後にすっきりとするのは、どことなく“自由”を感じさせる主人公がクールに難題をクリアするからかもしれない。単に有能で、弁が立つだけではないのだ。より正確に言うならば、100%自由ではなくても、少なくとも“自由であろうとする”その振る舞いに惹きつけられると言えよう。

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