趣里の演技は観る者の想像力をかきたてる 『僕坂』『生きてるだけで、愛。』真逆の役を好演

趣里の演技は観る者の想像力をかきたてる

 東京・神楽坂を舞台に若き獣医師、コオ先生こと高円寺達也(相葉雅紀)と、動物や飼い主たちの心温まる交流を描いたドラマ『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)に出演中の趣里。コオ先生に思いを寄せ、手作り弁当を差し入れしたり、ボランティアで動物病院の手伝いに来たりと、何かと世話を焼く芸者のすず芽役を好演している。

 4歳でバレエを始め、10代でイギリス留学を経験したという趣里は、美しい姿勢が目を引くこともあり、クールな印象を与える。映画『勝手にふるえてろ』(2017)で演じた金髪のカフェ店員はまるで人形のようで、浮世離れした存在感を醸し出していた。ただ、その華奢な外見とは裏腹に声には力強さがある。『僕とシッポと神楽坂』では、まっすぐにコオ先生を追いかけては看護師のトキワ(広末涼子)をライバル視して騒ぎを起こすなど、コミカルでチャーミングな役柄に意外なほどハマっているのも不思議だ。

『僕とシッポと神楽坂』(c)テレビ朝日

 女優・趣里といえば、二宮和也主演のドラマ『ブラックペアン』(TBS系)で二宮和也演じる渡海征司郎に信頼される有能な看護師、ねこちゃんこと猫田麻里役を思い浮かべる人も多いだろう。簡単に人を信じたりしない渡海先生とのコミュニケーションの取り方、ミステリアスな雰囲気が意味ありげで、彼女の注目度は一気に上昇。SNSでも彼女のシーンをもっと観たいと大きな反響があった。

『ブラックペアン』(c)TBS

 ねこちゃんが、ただ昼寝の場所を探しているだけでも、ほかに何か別の意図があるのではないか? 彼女が、ある特定の人物を凝視することに裏の特別な意味があるのではないか? などと想像をかきたてる独特の存在を放つ趣里。少し影のある、屈折した役を演じる趣里をもっと観てみたいと思わせるものが彼女の中にはあるようだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる