名バイプレイヤー・川瀬陽太が語る“サブリミナル俳優”としてのスタンス 「どんな現場もやりがいの熱量は同じ」

名バイプレイヤー・川瀬陽太が語る

 『ディアーディアー』で監督デビューを果たして以来、途切れることなく作品を発表し続けている菊地健雄監督。11月9日に公開された最新作『体操しようよ』は、定年退職後、生きがいを見つけられずにいた主人公・道太郎(草刈正雄)が、公園のラジオ体操会に参加する様々な人々と出会い、新たな世界を知り、また人生を謳歌していく姿を描く。『ハローグッバイ』『望郷』に続き、家族とは何か、人とつながることは何かを問いかける、心温まるヒューマンドラマに仕上がっている。

 リアルサウンド映画部では、道太郎が参加するラジオ体操会のメンバー、駒井竜二を演じた川瀬陽太にインタビュー。メジャー映画からインディペンデント映画、そしてテレビドラマまで、数えきれないほどの作品に出演する名バイプレイヤーは、今何を思っているのか。助監督時代から交友のある菊地監督の素顔から、自身の演技スタイルまで、じっくりと語ってもらった。

反響が大きかった『anone』の出演

ーー今の日本映画界で川瀬さんほど多くの作品に出演されている俳優はいないと感じます。どんな経緯で俳優を始められたのですか?

川瀬陽太(以下、川瀬):「あなたにしかできない!」と言われて始めた仕事ではなく、最初に出た自主映画も消去法で選ばれたようなもので、「何となく」でしょうか。その後、紆余曲折を経て、瀬々(敬久)さんの映画に呼んでいただけるようになり、「ダメでもいいからやってみなよ」と言ってもらったこともあり、気が付いたらここまで続けることができている、という感じです。

ーーメジャー大作映画からインディペンデント映画まで、“映画人”のイメージが強かった川瀬さんですが、今年1月放送の『anone』(日本テレビ系)を観ていたら“犯人”役として出演されていてびっくりしました。

川瀬:「観たことあるけど誰だ?」問題ですよね(笑)。自主映画、成人映画とキャリアをスタートした自分が、「代表作」という形でボーンと出てきたというよりは、細く長くやりながらだんだん知られていった形で発見してもらえたのはありがたいことです。かつての蟹江敬三さんや、今年亡くなられた大杉漣さんもそうでした。僕の中では苦節何十年、という気持ちはまったくないんですが、やっぱりどこか「報われた」という思いはありました。『anone』で存在を知ってくれた方が、過去の出演作を観て「こんなところにもあいつがいた!」と思ってもらえたら非常にうれしいですね。

ーーネット上でも大きな話題となり、周囲の反響も大きかったのでは?

川瀬:知り合いからもUFO見たみたいなテンションで、「こないだ出てましたよね?」と目撃証言を寄せてくる。出ちゃいけないのかよと(笑)。僕はどれも同じ仕事で変わりはないんですが、それぐらい地下芸人感があったのかなと。

ーー本作『体操しようよ』や主演作『ローリング』など、川瀬さんがメインクレジットに名前が出ている作品に関しては、川瀬さんが出演すると分かって作品に臨むわけですが、クレジットされていない作品にも教師や警察官で登場されることが多々あるので、「また出てる!」とどうしても思ってしまいます(笑)。

川瀬:サブリミナル俳優としてね(笑)。かつては田中要次さんがそうだったけど、ドラマ『HERO』(フジテレビ系)でブレイクしてからはすっかり有名になっちゃって。今のところ、自分には“ブレイク”感はありませんけど(笑)。

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