吉村界人、なぜ出番少なくとも存在感がある? 『獣になれない私たち』の“空気を読まない”不敵さ

『けもなれ』吉村界人の“不敵さ”

 主演・新垣結衣と脚本・野木亜紀子の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)タッグにより、大きな期待を背負ってスタートした『けもなれ』こと『獣になれない私たち』(日本テレビ系)も中盤へと入った。軽いタッチを想像していた視聴者にとっては予想外の作品カラーに戸惑いも見られたが、ドラマ史上に残る、これまで見たことのない「幸せなら手をたたこう」演出など、視聴者をじりじりと深みへと引きずり込んでいる。そんな『けもなれ』で、個性を発揮している若手役者がいる。田中圭の同僚を演じている吉村界人だ。

 ガッキー演じる深海晶と田中圭演じる花井京谷は、京谷の元恋人・朱里(黒木華)の存在を断ち切れずに堂々巡りを繰り返しているが、そんな京谷の私生活に、吉村の演じている筧文彦が鋭く切り込んでくる。京谷の言動に現れる違和感を逃さず、京谷が誰かと同居していること、その誰かが恋人の晶ではないこと、さらに別の誰かとお泊りしたまま会社に来たことといった、親しくもない会社の同僚などには知られたくない、プライベートのなかでもより守りたい事実に、文彦はグイグイ踏み込んでくる。空気を読めないというより、“読まない”不敵さで。

 一見、無神経な嫌われキャラだが、どんな方向にせよ、停滞しがちな空気を動かす様子に、次第に、いつ登場してくれるだろうと期待してしまう貴重なキャラクターになっている。少ない登場シーンながら、視聴者の頭にきっちりと存在を残しているのは、吉村の巧さゆえだろう。

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