C・ブランシェット「異性愛者にも同性愛者を演じる権利はある」と主張 映画界の多様性を考える

C・ブランシェットの主張から考える映画界の多様性

 最近のハリウッドでは同性愛者やトランスジェンダーなどのLGBTを題材とした作品が増えてきており、それに伴い、LGBTの社会運動が活発化、SNSのコミュニティーも拡大している。

 記憶に新しいのが、俳優のスカーレット・ヨハンソンが映画『Rub & Tug(原題)』で1970年代のピッツバーグで犯罪王となったトランスジェンダーのダンテ・テックス・ジルを演じると発表された時だ。SNS上ではいかにトランスジェンダー俳優の活躍できる機会が少ないかと批判が勃発した。

 ヨハンソンは批判に対し、過去にトランスジェンダー役を演じた俳優たちの名前を引用し、「私じゃなくてジェフリー・タンバー、ジャレッド・レト、フェリシティ・ハフマンの代理人に聞いて」と語っていたが、SNS上で多くの批判を受けたため、2回目の声明として「トランスジェンダーのコミュティーでたくさんのことを学んだし、この映画の多様性について多くの人々が話したことを嬉しく思うわ」と述べ、役を降板することを表明した。批判に対し反感を示していたヨハンソンだが、数多くの批判に、折れる結果になったことは事実である。この出来事からいかにインターネットにおけるLGBTのコミュニティーが大きいかが垣間見える。

『キャロル』(c)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

 この騒動に対して俳優のケイト・ブランシェットは、異性愛者の俳優が同性愛者の役を演じることを援護する発言をした。

 ローマ国際映画祭での質疑応答において、ブランシェットは「リアリティ番組などは役作りのために多くの影響を与えたと思うけど、今の米国では否定的な側面として、役に近い経験を持つ人だけが、その役と深いつながりを持てると思われている」と述べた。また、ブランシェットはそうした思い込みを超えて、自身の経験とは違った役を演じる権利を得るための努力を惜しまないと話し、同じ経験を持つ俳優のみが役を理解しているという考えを否定。なお、ブランシェットは、映画『キャロル』(2015年)でレズビアンの役を演じている。

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