賀来賢人×伊藤健太郎の“男の友情”がなぜ胸にささるのか 『今日から俺は!!』は新しい青春ドラマに

『今日俺』福田雄一が切り開いた新しい青春ドラマ

 遂に『今日から俺は!!』(日本テレビ系)が終わってしまう。なんでこんなに面白いんだろう。何でこんなにこのドラマが好きなんだろう。オープニングの演奏と踊る清野菜名と橋本環奈を観るだけでやたらテンションがあがってしまう。日曜日は、家に帰ってテレビを観るのがいつも楽しみでしかたなかった。

 西森博之による原作コミックも笑いだけでなく、硬派で真摯でかっこよく、必読の面白さなのであるが、ドラマも全くもって期待を裏切らず、むしろ期待を上回るレベルなのだ。

 『今日から俺は!!』世代の人からすれば懐かしく愛おしく、若手俳優たち目当てで学園ドラマとして観始めた若い世代からすれば、今まで観ていた青春ドラマとは違うものを感じたはず。拳を交わすことで通わす友情という直球勝負、ゲラゲラ笑えて時にかっこよくキメてくれるこのドラマは新鮮だったのではないか。家族全員で楽しめるドラマであったことは間違いない。

 そして、作品の常連でもあり、既に十分わかっていることではあるが、特筆せずにはいられない5話の中村倫也の、どハマリで完璧なゆるふわ狂犬不良っぷり、太賀が演じる「俺はジェイソンで、ジェイソンは俺だー!」と映画館で泣く4話の今井の愛おしさ、さらには8話での短時間の出演で衝撃的な可愛さを印象付けた、聖子ちゃんカットの浜辺美波と、若手俳優たちの嬉しすぎる発見も多かった。特に、『相棒16』10話(テレビ朝日系)や『仰げば尊し』(TBS系)、映画『14の夜』など主演ではない時も常にその好演が光っていた伊藤役の伊藤健太郎は、このドラマ出演をきっかけに「健太郎」から「伊藤健太郎」に改名。『ビー・バップ・ハイスクール』で中間徹役を演じた仲村トオルばりにその名を知らしめ、この先の大・大・大飛躍を予感させた。

 福田雄一作品ファンとしても出演陣にはたまらないものがあった。『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)とは対照的に超通常運転のムロツヨシになんとなく安心し、佐藤二朗との掛け合いにニヤニヤさせられ、『アオイホノオ』(テレビ東京系)の柳楽優弥、小栗旬に新井浩文の特別出演に飛び上がり、京子役の橋本環奈の飛びぬけたコメディエンヌっぷりにはいつもに増して脱帽だった。さらには三橋の母親役に、元は宝塚トップスターとしてカリスマ的存在だった瀬奈じゅん、山口先生役につかこうへいの娘であり元宝塚トップ娘役の愛原実花といった演劇勢の出演も、三橋の父親役の吉田鋼太郎と共に、舞台栄えしすぎる声と美しさを持ち前のコメディセンスで最高の笑いに変えていた。最終回は、今年3月に上演された福田雄一演出の舞台『ブロードウェイと銃弾』のギャング・チーチ役を彷彿とさせる城田優の出演で、ますます演劇ファンを喜ばせそうだ。

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