長谷川博己以外に適任者なし! 『まんぷく』愛されキャラ、立花萬平の魅力

『まんぷく』愛されキャラ、立花萬平の魅力

 『まんぷく』(NHK)の主人公・福子(安藤サクラ)の夫・萬平(長谷川博己)の周りには、いつだって彼を支えてくれる人たちでいっぱいだ。彼が発明に汗を流すとき、あるいは、憲兵や進駐軍に捕らえられたときのシーンでよく描かれたように、多くの登場人物が萬平を応援し、味方になってきた。それはきっと、萬平という人間の中に、信頼するに足る何かを見出していたからに他ならない。立花萬平が持つ人間的魅力はどこに見え隠れするのだろうか?

発明家としての萬平

 “人の役に立つ”こと。それは萬平の発明のポリシーであると同時に、彼の生き方の指針でもある。自分が作り出したものが、1人でも多くの人の役に立つということ。ここにこそ、萬平が愛される理由のひとつが隠されているようだ。もちろん、研究や開発といったこと自体を好む一面もあるのだろう。しかし多くの場合、萬平の視線の先には、その発明の成果が届けられる人々の姿がある。ハンコであれ、ダネイホンであれ、決して利益の追求ばかりを目的にした発明ではないのだ。

 三田村会長(橋爪功)も萬平の姿勢を評価してきた1人である。第54話にこんなシーンがあった。萬平が世良(桐谷健太)にダネイホンを全国の病院に売るように頼んだ際、世良は儲からないとして、それをはねのけようとした。しかし、三田村はそんな世良を「それは違うぞ、世良君」と諭した。三田村は、裁判官の同級生が餓死で亡くなったエピソードを話す。正義感から、闇業者の売る食料を一切よしとしなかったからだ。そして三田村は、ダネイホンを作った萬平は“意義のあるものを作った”と言ったのだった。

 儲かるものというよりも、“役に立つもの”、あるいは“意義のあるもの”を世に生み出して、みんなに幸せを届けることに意味がある。『まんぷく』が観る者に教えてくれることのひとつである。

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