『絶対正義』でまたも主演に抜擢! 遅咲きの女優、山口紗弥加は“目”で演技する

『絶対正義』山口紗弥加は“目”で演技する

 「わたし、何か間違ったこと言ってる?」

 こちらを真っ直ぐに見つめる瞳は確かな自信に満ち、有無を言わせない迫力がある。東海テレビ・フジテレビ系〈オトナの土ドラ〉枠で放映中の『絶対正義』の一場面。主人公・高規範子の決めセリフのシーンである。

 本作は“イヤミス”(イヤな読後感の残るミステリー小説の略称)の旗手として注目を集める秋吉理香子の同名原作のTVドラマ化。 ささいな間違いや過ちも許さず、法律やルールを守ることのみに執念を燃やすヒロインが、周囲の人々を翻弄し、彼らの運命をも狂わせていく姿を描くサイコサスペンスだ。正義とは何か。たとえ誰かを傷つけたとしても、正義は貫くべきなのか。観る者の倫理観や道徳観にも鋭く迫る物語は、“一億総クレーマー社会”とも言われる現代社会を反映していると取ることもでき、今後の展開がさまざまな波紋を呼びそうだ。

 そんな、見方によれば荒唐無稽とも思えるドラマを、圧倒的な存在感で成立させているのが、主人公・高規範子を演じる山口紗弥加だ。校則通りにきっちり切りそろえたおかっぱヘアに、清廉潔白を表したかのような全身白で統一したファッション。神出鬼没な登場といい、立ち居振る舞いにもどこか人間離れした凄みが感じられる。山口は昨年、キャリア24年目にして初主演を飾った『ブラックスキャンダル』(読売テレビ・日本テレビ系)に続き、早くも2作目の主演を射止めたかたちだ。

 14歳でCMデビュー、その後『若者のすべて』(フジテレビ系)で、女優としてスタートを切ってから数多くの作品に出演してきた山口。当初はバラエティに進出したり、歌手活動を始めたりと幅広いジャンルで活躍していたものの、自身の立ち位置に疑問を感じることも多かったそうだ。一時は芸能界から引退も考えるが、2003年に出演した野田秀樹演出の舞台『オイル』に出演した経験から再び女優の面白さに開眼。これを見た演出家の蜷川幸雄から舞台『エレクトラ』に誘われ、厳しい指導を受ける中で演技の道を続ける覚悟ができたという。近年は名バイプレイヤーとしての存在感に磨きがかかり、オファーが絶えない女優として作品に引っ張りだこ。キツめのキャリアウーマンから場末のホステス、優しい母親役までを演じ分け、脇役といえどインパクトのある演技は業界内部でも評価が高い。

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