中村勘九郎と生田斗真、オリンピックに向けて“同志”に 『いだてん』舞台はストックホルムへ

『いだてん』四三と弥彦が“同志”に

 『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第7話。日本選手団監督として就任した大森兵蔵(竹野内豊)の「金があるのに行けない三島に、行けるのに金がない金栗か」という台詞にもあるように、金栗四三(中村勘九郎)と三島弥彦(生田斗真)の対照的な立場が印象的な回となった。

 嘉納治五郎(役所広司)の口車に乗せられて自費で渡航費を用意することになった四三。四三はオリンピック出場のために、兄・実次(中村獅童)に資金援助の手紙を出した。オリンピックのエントリーフォームに名を連ねた四三と弥彦は、オリンピックに向けて英会話や食事マナーを学ぶことになる。貧しくとも自分を応援してくれる家族をもつ四三と、どこか冷めきった親子関係を感じさせる弥彦。対照的な2人がオリンピックに出場する日が刻一刻と迫っていた。

 「千八百円」という当時の大金を自費で出すことになった四三は、藁をもすがる思いで兄・実次に手紙を出した。いっこうに返ってこない返事に不安を募らせる四三だが、このまま返事がなければ学校を休学し借金してでも参加する意思を見せる。所属する徒歩部顧問・可児徳(古館寛治)に「そんなしてまで、君、オリンピックに出たいのかね」と問われると、まっすぐ可児を見据え「はい」と返事をする。その四三のまっすぐな返答からは、オリンピック出場への意気込みが日に日に濃くなっているのが伝わってくる。兄からオリンピック出場に関する前向きな返事をもらったとき、四三は子どものように顔をくしゃくしゃにして涙した。

 中村は、走ることに対して純粋な思いをもった金栗四三という人物を真摯に演じている。不安げな表情も、まっすぐな表情も、涙する表情も、笑顔も、全ての演技に四三の「走りたい」という純粋さが感じられる。三島家の女中・シマ(杉咲花)に「10里も走るってどんな気持ちですか」と問われたとき「いっちょうわからんです」とはっきり答える四三。「わからんけん、走っとっとです」というシンプルな回答は、シマを困惑させたが、金栗四三の“いだてん”らしさを象徴する回答でもある。

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