『3年A組』作り手と菅田将暉の姿が重なる? “展開の速さ”で視聴者惹きつける現代的ドラマの作り方

『3年A組』ヒットのポイントは“展開の速さ”

 日本テレビ系で日曜夜22時30分から放送されている『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(以下、『3年A組』)は、ミステリーテイストの学園ドラマだ。物語の舞台は、魁皇高校の3年A組。卒業まで残り10日となった3学期末。クラスメイト29人は担任の柊一颯(菅田将暉)に爆発物が仕掛けられた教室に閉じ込められる。

「今から、皆さんには、人質になってもらいます」

 柊はそう言うと、半年前に命を落とした生徒・影山澪奈(上白石萌歌)について語り始めた。水泳部でオリンピック代表候補にもなっていた影山はなぜ命を落としたのか? 生徒たちはスマートフォンと荷物を没収され、原因を考えろ、真実を知っているものは名乗り出ろ、と言われる。柊は自ら警察に通報。マインドボイスというSNSを通じて課金を求める。そして、柊の出す課題に答えられなかったら、一人ずつ生徒の命を奪うと言う。そして第1話のラスト、生徒の一人が柊にナイフで刺し殺されて物語は終了する。

 1話を見終えた時、最初は映画の『告白』や『悪の教典』のように教師と生徒が殺し合うホラーテイストの作品になるかと思った。

 永野芽郁を筆頭に生徒役の俳優のキャスティングにも力が入っていた。そのため、生徒の一人一人を主役にした話を毎話展開し、最後に柊が犯行理由を語り、それが捻れた形での教育的メッセージだったという『女王の教室』(日本テレビ系)のようなオチを予想していた。

 だから、柊が実は生徒を殺してなかった、という展開にはどこか安心すると同時に、やっぱりそういう方向に行くのかと感じた。しかし、ふつうのドラマだったら最終話でネタばらしすることを、今作は前半で見せてしまった。

 この展開の速さこそが、『3年A組』の面白さだろう。本作は視聴者の想像する展開を早送りで見せていくことで、教師視点の学園ドラマにおける物語のパターンのすべてを詰め込もうとしているのだ。

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