二大看板「朝ドラ」と「大河」以外でも高いクオリティ保持 意欲作が続く近年のNHKドラマを探る

NHKドラマ、意欲作が続く理由

 NHKドラマというと、丁寧に作られた優等生的な文芸作品という印象が強く、民放で放送されている娯楽性の高いドラマとは良くも悪くも別枠と思われていたが、近年は状況が大きく変化している。

 一番大きいのは、化石のような存在だった朝ドラ(連続テレビ小説)の復権だろう。2010年の『ゲゲゲの女房』以降、一話15分6日連続で半年間放送という形態がSNS時代にマッチしたことで生まれ代わり、今や朝ドラを中心にテレビドラマは動いていると言っても過言ではない。現在放送中の『なつぞら』も高い支持を得ている。

 作品自体は『カーネーション』や『あまちゃん』といった朝ドラの歴史を更新するような傑作が続出した10年代前半に比べると、良くも悪くも安定期に入ったが、そんな当時の朝ドラを彷彿とさせる地殻変動が起きているのが、『真田丸』以降の大河ドラマである。

 現在放送中の『いだてん~東京オリムピック噺~』は脚本家・宮藤官九郎を中心とする『あまちゃん』チームが再結集した意欲作で、オリンピックを題材に近現代史を描くという、かつてない大河ドラマとなっている。

 おそらく今年を代表する作品となることは間違いないだろう。この、朝ドラと大河が、NHKドラマの二大看板だが、それ以外の連続ドラマも高いクオリティを保持した現代的な作品が多い。

 中でももっとも勢いがあるのは、ドラマ10(金曜夜10時枠)だ。昨年はトランスジェンダーをモチーフにした『女子的生活』と、産婦人科を舞台に、出産や中絶の現実をシリアスな視点で描いた『透明なゆりかご』といった意欲作を生み出し、ドラマ関連の賞を総なめした。

 今クール放送された『トクサツガガガ』はコミカルなテイストの笑える作品だったが、特オタ(特撮オタク)のヒロインを通して現代社会の生きづらさを追求しており、本作もまた、女性の困難を丁寧に描いた社会派ドラマの傑作となっている。おそらく今のドラマファンがもっとも注目している放送枠だと言えよう。

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